エクアドル: 勝利に向け最後の直線へ
事実上のクーデターから政権奪還をめざす

コレア大統領の10年間

経済困難とそれによる政治不安が続いていたエクアドルでラアエル・コレアが大統領に就任。この国に政治的安定をもたらし、農民の悲惨な生活の是正に取り組んだ。

コレアは大衆の圧倒的支持のもとに、何回かのクーデターの危機を乗り越え、10年にわたり政権を維持した。

モレノへの政権引き継ぎ

17年5月、コレアは副大統領レニン・モレーノにバトンを渡した。モレーノは自身が車椅子の障害者で、福祉の専門家とみなされてきた。

しかし、モレーノは支持者を裏切り、敵と手を結んだ。メディアが周到に準備された反コレアの一斉キャンペーンを開始した。米副大統領マイク・ペンスがエクアドルを訪問しモレーノの裏切りを称賛した。

エクアドルはキューバ、ベネズエラなどと結んだ米州ボリバル同盟 (ALBA) から脱退し、これと対抗する反共・親米の「太平洋同盟」に加入した。

昨年はじめにはベネズエラの自称大統領グアイドを承認した。キトの大使館は乗っ取られ、追い出された大使らは敵性人として追放された。

モレーノ政権はIMFのパッケージを受け入れた。 40の国家機関のうち13が廃止され、1万人以上の労働者が解雇された。

昨年10月にはモレーノの裏切りと大量解雇に抗議する全国行動が展開された。これに対する弾圧は過酷なものだった。多くの活動家が投獄され、亡命を余儀なくされた。


21年大統領選に向けて

3年間の恥ずべき裏切りと弾圧にも関わらず、コレアへの国民の支持はますます高まった。

21年2月の大統領選に向けコレアは再度の当選を目指し動き始めた。

これに危機感を抱いた国家機関は、コレアの立候補を不可能にするため暴力的手段に打って出た。

政府と検察は、コレアに対し25件に上る犯罪容疑をかけ捜査を開始した。

2020年4月 最高裁はコレアに対し懲役8年の刑を言い渡した。さらに25年間の政治的権利の剥奪も科された。コレアはベルギーに亡命を余儀なくされた。

選挙管理委員会は、コレア個人のみならずコレア派勢力の政治的権利の剥奪にも乗り出した。

当初の届け出団体Fuerza Compromiso Socialは政党登録を抹消され、ついで、選挙のためのキャンペーン組織「希望のための連合」も政治活動を封じられた。

コレア派は休眠政党の民主中道党に宿借りすtるという奇手に出て、候補者登録を狙った。

大統領候補はコレアではなく若い経済学者アンドレス・アラウスをすえ、コレアは副大統領候補に回った。

裁判所は最後に、「いかなる公職であれコレアの立候補を認めない」との決定を下した。

コレア派は、コレアを副大統領で出馬させることを断念。ジャーナリストのラバスコールを副大統領候補として選管に登録申請を行った。
エクアドル大統領候補
       アラウス(左)とラバスカル(右)

コロナでモレーノはレームダックに

4月からエクアドルでコロナが猛威を振るい続けている。感染者の総数は9月中旬までに122,000人に達した。バナナの出荷港グアヤキルでは、街路がコロナで倒れ、放棄された死体で埋まるという前代未聞の事態となった。

8月に行われた世論調査で、モレノの支持率は8%に低下。任期を半年残して事実上のレームダックとなった。

これに対してコレア組が大統領候補のトップに立った。


コレア派勢力の勝利が目前に

南米では10月、春の始まりは政治の始まりでもある。

キトでは、燃料費補助の廃止に抗議するデモが激化した。

政府は抗議行動を避けてグアヤキルに移転した。モレノは「コレア前大統領や、ベネズエラのマドゥロ大統領らが暴動をあおっている」と非難。しかし種をまいて、火をつけたのはあんただろう。

このような戦いの中で、選挙管理委員会はついにアラウスとラバスカルの大統領選出馬を承認した。

今後も反動勢力の巻き返し、謀略など迂余曲折があるだろうが、エクアドルの民衆は着実に勝利へと向かっている。