まずは各紙論調をチェックすることにした。
赤旗: 3日主張
任命を拒否された6人は、安倍政権が強行した反動法案に反対してきた。
それを理由に任命しないのだとすれば、憲法第23条が保障する「学問の自由」を侵害するものです。
推薦候補の任命拒否は、「一定の監督権の行使」なのか?→それが問題なのではない。
①「日本学術会議法」第2条、第3条に照らして違法行為なのだ。
② 「日本学術会議法」第7条(83年の法改正で追加された条項)および政府答弁に照らして違法。
菅政権は異常な特質を継承していることが示された。
信濃毎日新聞 9日
政府の言い分には根拠がない。
学術会議は国内の研究者を代表する機関である。それは科学研究や政策のあり方について提言する。その独立を確保することは、学問の自由の制度的な保障となる。
本来、首相には拒否できる余地はない。
しかし18年に内閣府が、「推薦通りに任命する義務はない」とする見解を明確化した。
(なぜなら学術会議は)首相が所轄する行政機関であり、人事を通じて一定の監督権を行使できる。
内閣府は、公務員の選定を国民固有の権利と定めた憲法15条を持ち出す。
また監督権の根拠には、内閣の行政権を定めた憲法65条と、首相が行政各部を指揮監督すると規定した72条を挙げた。
それ自体、独善的な見解であり、受け入れられない。しかも、過去の国会での答弁と矛盾する。
政府が一方的な解釈で権力行使の枠を広げるのは「法の支配」の原則に反する。
朝日新聞 9日 社説
学術会議問題 論点すり替え 目に余る
首相は任命拒否の理由には答えようとしない。
すり替えの事例
1. 同会議の「必要性」の議論
「組織の形態や役割を検討する」と、論点をすり替え。
これは学術会議の側に非があるという「印象操作」に過ぎない。
2.同会議の実情について誇張と歪曲
A 会員が自分の後任を指名することも可能な仕組みだ(首相発言)
実際は、新会員の推薦に際しては性別や年齢、地域性などに配慮している。
B 学術会議は07年以降、答申を出していない(下村元文相)
政府は07年以降諮問していない。しかし答申ではないが、様々な提言を行っている。20年度だけで83本の提言や報告をまとめた。年間5億円の予算は、そのための連絡費に使われている。
C 今回の対応は学問の自由の侵害に当たらない(加藤官房長官)
しかし当該者の研究・発表が、今回の不利な人事につながったのは疑いようがない。
西日本新聞 7日
首相は拒む理由の説明を
重複分は割愛。
今回の6人は安全保障関連法や特定秘密保護法といった政府の法案や政策に批判的な立場を取っていた。政府に盾突くような学者は公職に任命しない。
という姿勢が読み取れる。
このままでは、「政権の意に沿わない学説は認めない」とのメッセージと受け取るほかない。
しかし首相は「一切関係ない」と断言した。それなら拒んだ理由を説明すべきだ。
首相は「個別の人事に関することはコメントを控えたい」というが、これは個別ではない。6人という集団である。
中国新聞 9日
首相の説明なってない
首相説明の翌日になって、政府側は18年に作成した内部文書を公表した。
そこには「首相は人事を通じて一定の監督権を行使することができる」と書いてある。
しかし文書はこれまで公表もされていないし、その適法性は議会を通じて確認されていない。議会ではむしろ83年の答弁書が通念化されている。
コメント