とりあえずネットで集められる限りで、アフリカにおける感染状況とその特徴を探ってみた。南アに関しては南ア政府の英語版サイトから拾っている。
アフリカ大陸のコロナ感染者数
アフリカの新型コロナ感染者は、まもなく100
万人に達する。
2月14日にアフリカ初の感染者がエジプトで確認された。その後、感染者数が10万人を超えるのに100日間、30万人を超えるのにそれから30日間、50万人を超えるのに16日間とすごい勢いで増加している。
まさに感染爆発ともいえる状況だ。
しかし実は、これらの数は当てにならない。アフリカ大陸は13億の人口を抱えるが、人口が約半分のラテンアメリカでは、感染者300万人、単純な感染者数で6倍、人口あたりの感染者数は12倍となる。
誰が見てもそんなはずはないので、アフリカ大陸では人口100万人当たり4200件の検査しか行われていない。同じ時期、アジアでは7650件、欧州では7万4255件のPCR検査が行われた。
つまりアフリカの患者数が少ないのは、感染が少ないのではなく検査が少ないからだ。それはアフリカの貧しさの象徴だ。
「タンザニアのレポート」
タンザニアのマグフリ大統領は、コロナから国が守られるよう、全国的に3日間の祈りを捧げることを呼びかけた。キューブリックの映画を見るようなシュールな世界である。大統領がこんなお手上げをしていてはいけない。
タンザニアは人口5500万人。東アフリカ地域でもっとも大きく、もっとも人口が多く、もっとも医療が遅れた国だ。WHOは、この国の流行状況についてほとんど情報がないと言っている。
お祈りから1カ月も経たないうちに、マグフリ大統領は新型コロナに対する勝利を宣言した。そして自国への観光を再開し外国人観光客の誘致を呼びかけた。多分コロナ感染者以外の観光客は行かないだろうが。
そして5月初めからは全国レベルの患者数・死亡者数を公表することをやめてしまった。
ただこれには同情すべき理由もある。海外から輸入された検査キットは欠陥品であり、ヤギから採取したサンプルでも陽性反応が出たという。
タンザニア以外ではもっと悪い
データの不足はアフリカ諸国の多くに共通する。公式数値だけ見るとアフリカの大半では新型コロナ禍を免れているようだが、もっと悪いのは確実だ。
政府が感染症の拡大を認めたがらない、あるいは崩壊した医療システムが検証にさらされるのを嫌がる場合もある。若年層が多いこともあり、死者は欧米諸国に比べて少ないが、日本の感染者数と同様であてにはならない。
一部の政府は、たとえ資金援助を受ける機会を逸することになろうとも、感染率に関する情報が表面化することを防ごうとしている。
ブルンジではWHO当局者が対コロナ措置の不十分性を指摘したところ、WHOの駐在員3人が説明なしに国外退去処分となった。その後、ンクルンジザ大統領が死亡、大統領夫人はケニヤに救急搬送された。現地では死因はコロナではないかと囁かれている。
赤道ギニアでは政府が、「WHOは感染者数を水増ししている」と非難し、駐在員の更迭をもとめ、感染データの提供を阻んでいる。
また、貧困と紛争によって疲弊し、調査を行う財力がない国もある。検査キットが致命的に不足し、大規模な検査、監視、接触追跡を実施するには、あまりにも医療システムが疲弊している。
アフリカ全土では人口千人あたり病床数が2ベッド未満しかない。住居内に手洗い場を持ち石鹸のある家庭は人口の約3割とされる。
それでもエイズに比べてましなのは、それが銃とレイプによる感染拡大ではないことだ。とはいえ、ブルキナファソ、ニジェール、マリなどではイスラム原理主義武装勢力や民族主義武装勢力が広範囲で活動しており、地方での調査は不可能となっている。
南アフリカの状況
南アフリカはアメリカ、ブラジル、ロシア、インドに続き、5番目に感染者の多い国となっている。アフリカの感染者100万人のうち50万人が南アフリカに集中している。
PCR検査が不十分にしか実施されておらず、感染者数は50万人よりはるかに多いと考えられている。6月初めの時点では、未処理の検体が6万3000件以上も積み残されていた。それでももちろんアフリカにおいては圧倒的な検査能力だ。
3月には世界的にもいち早く都市封鎖を実行したが、急速な経済悪化と失業者増加に耐えられず、6月には都市部の封鎖を緩和した。
その後7月に再び感染者が増え、ロックダウンを再開した。医療従事者は疲弊し、医療システムは崩壊寸前にある。
7月末、WHOで緊急事態対応を統括するマイケル・ライアンは、南アの現状は今後、アフリカ大陸全体に広がる事態の前兆だと語った。
南アを取り巻く南部13カ国が、極端な天気と新型コロナの影響で、危機に陥っている。約4500万人が飢餓の脅威に直面しており、このうち840万人の子どもが深刻な栄養不良にひんしている。
困ったことにアフリカ・飢餓と来てもまったく危機感が沸かなくなっている我々がいる。
経済マクロ7月はじめ「アフリカ開発銀行」が2020年の経済見通しを発表した。
大陸全体の経済成長率はマイナス1.7%と予測された。
特に南ア(マイナス6.3%)、ナイジェリア(マイナス4.4%)など主要国の落ち込みが顕著である。
南アのドル建て信用スプレッド(5年物)はコロナ以前の2倍近い約3%に高止まりしている。
国民生活への打撃
新型コロナの影響で南アフリカの大部分の学校が休校となっており、約2000万人の子どもが給食を受けられずにいる。このため一部の子どもたちは、栄養を十分に摂取できないでいる。
都市部の低所得者の困難はより深刻だ。正規の仕事がないため屋台や日雇いなどの非正規雇用で生計を立てているが、政府の閉鎖措置のため、賃金を稼いで生活するのが難しくなっている。
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