息子がアマゾンのビデオ・チャンネルを登録して行った。クレジット会社の通知を見たら毎月結構なカネが徴収されている。
しょうがないから見ることにした。
最初に見たのが「わたしを離さないで」という連続テレビドラマ。綾瀬はるかの主演だというので見はじめた。
* 恋愛ドラマというには結構きつい
4年くらい前のドラマだが、中身は恋愛ドラマというには結構きつい。よくこんな番組を民放で作ったものだ。
一種のSFで、iPSから作られた人間が生体移植用の材料として使われる、彼らには普通の人間と同じ人格が備わっているが、唯一自分の生死を自分で決められないという問題がある。というより、家畜と同じでいつ臓器を取られても良いし、その結果死ぬことは当然のこととされる。
つまり人格はあるが人権はないということになる
浮世離れした非常に危うい設定だから、話はどんどん観念的かつ悲観的になっていく。最後は、「これは俺たちのことではないだろうか」という気になってくる。そしてみな死んでしまうことになる(のだろう)…
ドラマでは綾瀬はるかの相手役の男優が非常にうまい。あまりうますぎて、時々「この人、気は確かなのだろうか」と思ってしまうくらいだ。眼に一種の狂気が宿る。
三浦一馬と言って、最近自殺してしまったらしい。
ただ陽光学院の先生方がまったく書き込まれていないので、背景がよくわからないまま筋が突っ走っていく、これだけ長丁場のドラマなら、もう少し脇の筋も描かれるとぐんと厚みが増してくるのだろうが、ただでさえ捻りまくった設定が、ますますねじれてわからなくなるかも知れない。
* イシグロが書いたのだそうだ
うかつにも見逃したのだが、あとでネットで調べたらこのドラマの原作はイギリスの作家イシグロのものなのだそうだ。
イシグロは日系二世で、このドラマの前後にノーベル文学賞をとった。この作品はイギリスでベストセラーになったのだそうだ。
そう言われて、あらためて考え直すと、このドラマはロボット人間の葛藤劇というだけではなく、それを利用する側の人間もふくめた一種のディストピア社会なのだ。
その中で健気に生きる、一群のロボット人間たちによる、ひとつのビルドゥングスロマンなのだ。そう考えると、この設定は決して突拍子もないSFではない。
かつて戦前から戦中の若者は、天皇の名において社会から死を強要された。生まれた瞬間から死が運命づけられていた。その中で若者たちは喜び、悲しみ、成長していった。ある日突然召集令状が来るまでは。
ドラマとの違いは、その運命と、その死がもてはやされるかどうかの違いでしかない。ウソがてんこ盛りにされた社会からそれらを剥ぎ取れば、それはまさに無残な社会だ。
あるいはアフリカの途上国の人々だ。彼らの生や死は、常にスコップ一杯の生や死として扱われる。50万、百万の死をテレビで聞きながら、私たちはそれを露ほどにも受け止めず弁当をひろげ、お茶のペットボトルに口を当てる、
ただイシグロは、その冷厳な現実を突き出すだけでなく、その中にも生きている意味を掴み取ろうと必死にもがきつづける、人間の生の力強さをも描き出そうとする。そこに若者たちの共感を得ようと訴えている。
とにかく一度ご覧になるようおすすめする。アマゾンプレミアというところに申し込むと見ることができる。中身からすれば契約料は決して高くない。設定は面倒っぽいが、若い人ならやってくれるだろう。
相当ヒマな人でないと見れないだろうが…
しょうがないから見ることにした。
最初に見たのが「わたしを離さないで」という連続テレビドラマ。綾瀬はるかの主演だというので見はじめた。
* 恋愛ドラマというには結構きつい
4年くらい前のドラマだが、中身は恋愛ドラマというには結構きつい。よくこんな番組を民放で作ったものだ。
一種のSFで、iPSから作られた人間が生体移植用の材料として使われる、彼らには普通の人間と同じ人格が備わっているが、唯一自分の生死を自分で決められないという問題がある。というより、家畜と同じでいつ臓器を取られても良いし、その結果死ぬことは当然のこととされる。
つまり人格はあるが人権はないということになる
浮世離れした非常に危うい設定だから、話はどんどん観念的かつ悲観的になっていく。最後は、「これは俺たちのことではないだろうか」という気になってくる。そしてみな死んでしまうことになる(のだろう)…
ドラマでは綾瀬はるかの相手役の男優が非常にうまい。あまりうますぎて、時々「この人、気は確かなのだろうか」と思ってしまうくらいだ。眼に一種の狂気が宿る。
三浦一馬と言って、最近自殺してしまったらしい。
ただ陽光学院の先生方がまったく書き込まれていないので、背景がよくわからないまま筋が突っ走っていく、これだけ長丁場のドラマなら、もう少し脇の筋も描かれるとぐんと厚みが増してくるのだろうが、ただでさえ捻りまくった設定が、ますますねじれてわからなくなるかも知れない。
* イシグロが書いたのだそうだ
うかつにも見逃したのだが、あとでネットで調べたらこのドラマの原作はイギリスの作家イシグロのものなのだそうだ。
イシグロは日系二世で、このドラマの前後にノーベル文学賞をとった。この作品はイギリスでベストセラーになったのだそうだ。
そう言われて、あらためて考え直すと、このドラマはロボット人間の葛藤劇というだけではなく、それを利用する側の人間もふくめた一種のディストピア社会なのだ。
その中で健気に生きる、一群のロボット人間たちによる、ひとつのビルドゥングスロマンなのだ。そう考えると、この設定は決して突拍子もないSFではない。
かつて戦前から戦中の若者は、天皇の名において社会から死を強要された。生まれた瞬間から死が運命づけられていた。その中で若者たちは喜び、悲しみ、成長していった。ある日突然召集令状が来るまでは。
ドラマとの違いは、その運命と、その死がもてはやされるかどうかの違いでしかない。ウソがてんこ盛りにされた社会からそれらを剥ぎ取れば、それはまさに無残な社会だ。
あるいはアフリカの途上国の人々だ。彼らの生や死は、常にスコップ一杯の生や死として扱われる。50万、百万の死をテレビで聞きながら、私たちはそれを露ほどにも受け止めず弁当をひろげ、お茶のペットボトルに口を当てる、
ただイシグロは、その冷厳な現実を突き出すだけでなく、その中にも生きている意味を掴み取ろうと必死にもがきつづける、人間の生の力強さをも描き出そうとする。そこに若者たちの共感を得ようと訴えている。
とにかく一度ご覧になるようおすすめする。アマゾンプレミアというところに申し込むと見ることができる。中身からすれば契約料は決して高くない。設定は面倒っぽいが、若い人ならやってくれるだろう。
相当ヒマな人でないと見れないだろうが…
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