平井文子さん「中東におけるコロナショックをめぐる状況」ノート

AALA オンライン国際部会から


中東諸国での感染状況

トップはトルコ( 感染者16万人,死者4500人、世界で 10 位)、2位がイラン( 14万人、死者7400人、12 位)である。

以下サウジ、エジプトと続く。

湾岸産油国は人口は少ないが感染率が高い。これは感染者に占める出稼ぎ労働者の割合が多いからだ。彼らはタコ部屋に閉じ込められ、 失業しても 帰国も出来ない状態に置かれている。

このほかおそらく相当多いと思われる難民・避難民に関しては信頼できる統計はない。

各論

1.アメリカ

1 1 月の大統領選を控えたトランプ政権 は、国際法・国連決議を無視して親イスラエル政策を推し進めている。

オバマ政権(2009~2017)はブッシュの一極主義戦争(アフガン戦争、イラク戦争)の後始末に力点をおいた。

シェールオイル・ガス生産増による中東への石油依存度の低下という事態が、アメリカの中東政策の変化をもたらした。

泥沼化したシリア内戦には軍事・政治介入を最小限にし、トランプの口からは「シリアはロシアに任せる」という言葉が飛び出している。

当面の中東政策は、イランの驚異を強調してペルシャ湾の緊張を煽り、サウジ等への大量の武器輸出で儲けることにあるようだ。


2.イスラエル

率いる与党リクードはこの間 3回の総選挙 を
繰り返したが勝利できず、組閣不可能状態にあった。

ところが、コロナショックを機に挙国一致の 新連立政権が成立した。これによりネタニヤフの首はつながった。


3.パレスチナ

3月、イスラエルの治安部隊は西岸で100
戸の家を急襲し、217人のパレスチナ人を逮捕した。そして西岸の5つの村へのアクセスを遮断した。

閉鎖は仕事、教育、農業、医療などまともな日常生活の維持を困難にし、住民の生活を崩壊させた。

ガザは恒常的な封鎖下で、人の出入りが厳しく制限されている。

このため、新型コロナの感染が抑えられている。しかし、医療設備が整っていないため、万一感染爆発が起これば甚大な被害が予想される。

3.アルジェリア

2019 年2月、ブーテフリカ大統領(当時81 歳)が5選を狙ったが、民衆の抗議により阻止された。当時ブーテフリカは81歳だった。

しかし12 月に行われた大統領選挙ではブーテフリカと同じく軍部の応援する元首相テブン氏が当選した。

その後テブンの就任を認めない民衆の平和的抗議行動が続いていたが、コロナを機に政府は外出禁止、集会禁止令を発し、ヒラク潰しにかかった。


蛇足ですが

リージョナルな政治情勢の流れを、アメリカの政策から始めて展開していく手法は、いまでは懐かしくさえ感じられます。

しかしその手法がいまでもきわめて有効であることに驚かされます。

これは中南米の情勢分析をする際にはもっと有効だろうと思います。