志位さんのポストコロナ論
このところ赤旗に立て続けにポストコロナ論が掲載された。
日本AALAとしてもコロナと国際連帯の課題は緊急かつ重要となっている。
そのためにも、まず筋となる総論が必要だが、これらの論文が非常に参考になるだろうと思う。
まずは5月18日の志井委員長発言から。
1.新自由主義システムの破綻が明らかに
① 医療費削減などの緊縮政策を押し付けられた国ぐにが大きな犠牲を強いられた。
② 労働法制の規制緩和が、派遣やパートで働く人々に皺寄せされ、そのためにコロナの犠牲が下層労働者に集中している。
③ 外需依存と産業空洞化が、サプライチェーンの寸断化、医療崩壊の危機をもたらした。
2.資本主義体制が本質を問われている
資本主義という体制は、格差拡大と環境破壊という2つの点に矛盾が集中している。
① 格差拡大とコロナ
ウイルス自体は富めるものと貧しいものを区別しない。しかし感染症による犠牲は、貧困のもとに置かれている人々に集中する。
格差が世界的な規模で、異常なレベルまで拡大している。その矛盾がパンデミックのもとで顕在化し、激化している。
アメリカでは、パンデミックのもとで格差があらためて大問題になっている。
また多くの途上国では、医療体制などが弱いために多くの犠牲が出ている。
② 環境破壊とコロナ
今回のパンデミックには、地球規模での環境破壊が深く関わっている。
この半世紀くらい、新しい感染症がつぎつぎと出現している。原因となっているのが、人間による無秩序な生態系への侵入である。
資本主義の利潤第一主義という本性を変えなければ、新型コロナを収束させても、次のより危険なパンデミックに襲われる可能性がある。今回のパンデミックは、資本主義という体制を続けていいのかを問うものともなっている。*1
*1 我々は「原理主義者」ではないから、コロナ問題が「聖書」や「コーラン」や「資本論」や「綱領」に書かれていたとしても、あまり慰めにはならない。
3.民衆の連帯で危機の克服を
深刻なパンデミックにもかかわらず、国際社会が協調しているとはいえない。
国際協調の主要な障害となっているのは米国と中国である。
① アメリカの「自国第一主義」
世界最大の資本主義大国であるアメリカは、パンデミックに対する国際的な取り組みに背を向けている。
WHOに対する拠出金の停止は、アメリカへの信頼をいよいよ低下させている。愚かというほかない。
② 中国の体制的な問題点
中国の初動は遅れた。それは人権の欠如という体制の問題点と結びついていた。*2
中国指導部はパンデミックのもとでも東シナ海、南シナ海などでの覇権主義的行動をやめようとしていない。これは国際協調にとって障害となっている。
こうして、危機のもと米中双方が対立し覇権争いをするという状況に至っている。*3
*2 率直に言って、この問題は検証が必要。どこまでが「人権の欠如」に起因するか、どこまでが「前近代性」という歴史的制約に起因するか。
ただし、その後の武漢でのコロナ制圧作戦は果断かつ圧倒的で、都民の忍苦もふくめ称賛に値する。
*3 「米中双方の覇権争い」の図式はコロナには適用されない。一連の経過を見れば、トランプ政権が一方的に攻撃を仕掛けているのは明らかだ。
③ 国際機関が機能していない
WHOの新型コロナへの対応に対しては、今後検証が必要になる問題点がある。*4
国連安全保障理事会はこの問題に関して機能していない。
私(志位)は米中に対して、この問題については協調すべきだと言いたい。
*4 WHOの対処に反省すべき点があったとしても、トランプが煽ぎ立てるような「検証すべき点」はない。少なくともアメリカがWHOを脱退するほどの根拠はない。メルケルとマクロンはそう主張している。
④ 民衆の連帯
何よりも、世界の多くの国ぐにと民衆が連帯して、このパンデミックを乗り越えることが強く求められている。
コロナ収束の先は、前の社会に戻るのでなく、日本でも世界でも、よりよい社会をつくっていく。*5
それによって、次の世界のあり方も決まってくる。
改定綱領を力に、そういう展望をもって頑張りたい。*6
改定綱領を力に、そういう展望をもって頑張りたい。*6
*5 コロナ問題は収束するのではない。これからが本番だ。そのためには「コロナ問題とは何なのか」をもっと根底的に把握しなければならないと思う。さらに国際協調運動の礎として「世界人権宣言」の精神に立つことがもとめられる。
*6 ここでは「世界の国と民衆の連帯」は具体的には何も語られていない。我々が肉付けをしていくべき課題として提起されたのだろうと思う。
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