1.ベネズエラではコロナは抑え込まれている

4月26日の東京新聞は、①ベネズエラが原油価格低落で危機的にあり、②医療保険制度が崩壊し、③コロナが蔓延していると書かれている。

すごく善意で見ると、記者は筆の勢いでコロナ蔓延と書いてしまったのかもしれないが、少なくとも③については取り消したほうが良いのではないだろうか。

彼らにとっては予想外で、かついくらか残念なことであろうが、ベネズエラではコロナは抑え込まれているのだ。

数はばらつきがあるが、WHOの4月17日の発表ではベネズエラは感染者440人、回復者220人、死亡者10人となっている。4月27日のロイター報道では、感染者数が318名,死者が10名にとどまっている。

この数字はラテンアメリカでは最低部に入る。理由についてはいろいろの見方ができるだろうが、数字だけで見ればほぼ抑え込まれていると見て良い。

ブラジルの感染率は104人/100万人。これに対しベネズエラでは6人/100万人である。
②の「医療保険制度が崩壊」というのも、揚げ足を取るようだが不正確だ。もともとベネズエラの一般民衆(つまり非白人系)は見捨てられた存在だった。バリオ(スラム街)に住む人々にはそもそも医療保険などなかったし、医師は貧困者などに見向きもしなかった。

この状況を劇的に変えたのがチャベスの革新政権だった。チャベスは医療と福祉の充実を目指し、バリオにキューバの医師団を送り込んだ。

そしてここが大事なところだが、一部の人達には信じたくない情報だろうが、それはベネズエラの経済状況が悪化したあとも変わらない。

いまもキューバから1500人の医師団が派遣されている。彼らはバリオに入り戸別訪問して定期的に健康状態をチェックしている。そして変化があれば隔離し検査を施行し、感染者であれば隔離する。


2.ベネズエラの医療は国際的な支援を受けている

もちろん無慈悲な経済封鎖のもとで、医薬品などあらゆる製品が不足している。これに対し量は少ないとはいえ、国際機関による支援が与えられている。

経過を少し書いておく。

3月25日、国連はコロナ支援を必要とする優先支援国の一つにベネズエラを指定した。感染者数や重症度ではなく、医療インフラが極度に逼迫しているためである。

4月8日、最初の支援物資90トンが首都カラカスに到着した。対コロナ国連対応計画の枠組みにより、ユニセフを通じて送られたものである。

支援物資には、11万人分の緊急キット110セット、酸素濃縮器、小児用ベッド、コロナ用のPPE検査キット約1,000個(3万人分)が含まれる。

ユニセフはまた、毎日2万7,000人の子どもを対象とした給食活動を開始した。


3.トランプのいじめはますますひどくなっている

彼は国連がベネズエラを優先支援国に指定すると、翌日には早速、攻撃を開始した。米司法省がマドゥーロ大統領ら 14 名を「麻薬テロ」への関与で起訴。

さらに4月に入ると、カリブ海域の「高まる脅威」に対処するため、軍事リソースを倍増すると発表。高まる脅威というのは、マドゥロ大統領など「麻薬・腐敗アクター」がコロナ大流行に乗じて麻薬密輸を強化しているという途方も無いフェイクだ。

IMFも何度も頭を下げたベネズエラ政府を足蹴にして、50億ドルの緊急融資を拒絶した。さらに特別引き出し権(SDR)へのアクセスも拒否した。ベネズエラは、融資額を 10 億ドルに引き下げて、改めて緊急支援を要請したが、その要請も拒否された。

みなさん、

コロナとの闘いにおいて、各国政府の真面目さと人権に対する思いが試されています。
決して、「うまかった、下手だった」という目で評価しないでください。
そもそも「やれません、やりません、その気はありません」の政府がうまくできるわけはないのです。

ベネズエラのように何にもない国、危機にさらされている国でも、コロナを抑え込むことはできるのだ、という事実を見ていただきたいと思います。


ベネズエラにおけるコロナ制圧の状況 を参考にしました。さらに知りたい方はそちらへどうぞ。