新興国の資金流出が止まらない

3日付の日経新聞によると、2020年に入ってからの100日で、新興国9カ国から1千億ドルが流出した。このスピードはリーマン・ショック時の4倍に相当する。

新興国経済破綻のメカニズム

メカニスムはこういうことだ。コロナで生産活動が低下し医療費が増大→財政収入の低下と財政支出の増加→通貨不安と為替急落→ドル債務の増加。

IMFによれば新興国の財政赤字は前年比1.8倍、GDP比で8.9%になると予想している。

ただし財政支出増の主因はコロナ対策にあるのだから、十分な手当てをすればその分は支出増になる。例えばマレーシアはGDPの18%相当をコロナ対策に出動すると政治決断した。

十分な対策を取ればその後の立ち直りも早いはずなので、この財政状況判断は半年なり1年を経て評価する必要がある。

それで9カ国の財政と債務を示したのが下図。

新興国


見てもわかるように各国がかなり異なる状況にあり、共通傾向を探るのは難しい。

通貨下落を主要な特徴とするのがブラジル、南ア、メキシコの三カ国だ。ただこれはこの100日間でこれだけ下落するだけの「のりしろ」があったとも言える。

トルコとチリは下落率は低いが対外債務はすでに十分積み上がっている。つまり本来は上位三カ国のさらに上位に位置すべき国なのだ。

右側のアジア四カ国についても同様の傾向が見て取れる。

目先の通貨下落率ではなく、債務残高で国力を判断しなくてはならないということがわかる。

結論

コロナショックによる経済収縮はすでに始まっている。

問題は、最後に新興国や貧困国に皺寄せされる病気と貧困の二重苦が、先進国にどう跳ね返ってくるかである。