岡田先生、懇願の理由

本日のテレビ朝日の「モーニングショー」での一場面である。
「PCR、なぜ早期にやれないのか」というテーマでのトーク。レギュラーの玉川さんときれいなお化粧の女性、ゲストとしておなじみコロナおばさんの岡田先生。出始めの頃とは打って変わり、むかしの「あんみつ姫」がそのまま育って、前髪ハラリが可愛くさえ見える。

本日はイギリスの某大学在留中で、WHO事務局長の上級顧問という肩書きをもつ渋谷さんが登場し、PCR問題について話が進んだ。岡田さんが、ここで突如「渋谷さん、PCR問題についてもっと社会に発信して」と、詰め寄るかのように懇願した。
だれの眼にも異様な光景であり、さすがの羽鳥アナも言葉が引き取れなくて沈黙。
渋谷さんはこの質問をサラリと受け流した。そのまま議論は進んでいったが、終わり頃にふたたび岡田先生が同様の発言。

これをどう読むか。

まず岡田先生が「出る杭」としてバッシングを受け、かなり孤立感を深めているという背景がうかがえる。「だいじょうぶかな? ちょっと来ていないかな?」

そして背景には、岡田さんら臨床派と疫学派とのあいだにかなり断裂があること、しかも疫学派が足を引っ張る傾向があること。岡田氏はような背景を暗示している。
たしかに、当初はクラスター潰し、今は封鎖一本槍の疫学者に、私ら臨床医は現場性を感じない。現場を見ずして何を語るのだろうと懸念を抱いてしまう。

いうまでもなく疫学派の代表は尾身氏である。彼は厚生官僚からWHO西太平洋地域事務局長に就任した。その経過はかなり強引でカネまみれであったと思われる。(自治医大ホームページを参照)

そこから天下って、地域医療機能推進機構の理事長に就任した。これは社会保険病院、厚生年金病院、船員保険病院という3つの病院グループを統合し設立された巨大法人である。

臨床の経験がほとんどない人が理事長に数人するのは、それなりの政治力の反映であろう。

報道によれば、地域医療機能推進機構は、先日成立した補正予算で“特別枠”ともいえる65億円が付いたそうだ。誠にご同慶の限りである。

いくら渋谷氏がWHOの幹部とはいえ、いま単身、尾身氏に盾突くような真似は到底できるものではない。風車に突っ込むドン・キホーテのようなものである。

渋谷氏にとって尾身氏はWHOにおける先輩でもあり、なかなか容喙できる立場にはない。それに渋谷氏もふくめ疫学畑の人は、医師免許を持っているとはいえ政策官僚であり、臨床医のように自由に動ける身分ではない。

WHOなど国連系諸機関で働き名を揚げている人は少なくない。尾身氏も渋谷氏もそのような人々である。私たちは彼らを「国連マフィア」と陰口している。むかしなら野口英世みたいなもので、正直のところさほど信用しているわけではない。やっかみ半分ではあるかもしれないが、「英語がお上手ですね」くらいの気持ちだ。英語がうまいのは、その国の後進性の証だ。

デクエヤル、ガリ、ハンギムン、明石などなど… みんな国内で主要ポストを狙ったが、無残に敗退している。国内で汗をかいていない人は所詮は根無し草なのだ。

それはひょっとすると、本来は対応の中心となるべき厚生労働省の思いかもしれない。

問題は臨床が重視されていないこと

岡田先生が孤立しているわけではない。事実はその逆だ。

専門家会議において臨床畑の意志が尊重されていないことは、ほぼすべての臨床医と多くの疫学者の一致した感想であろう。

しかし岡田先生があせる必要はない。疲れたら、心が折れる前に少し休んだほうが良い。

声を上げるかどうかは別にして、臨床医のほとんどは先生と同意見だ。二人のノーベル賞医学者、山梨大学の学長まで発言している。

先日書いた「加藤厚労相は辞任せよ」といういささか過激な文章で言及したが、その時「どうも厚労省の頑迷固陋ぶりの背後に何かがありそうだ」と書いた。それは「専門家会議」と尾身「副会長」辺り、すなわち官邸筋だろうなと感じていたが、徐々にあぶり出されてきたようだ。

それは結局は、安倍首相の独裁体制と官邸主導政治と、各省庁の忖度という構造であろう。

日本におけるコロナ病は「安倍病」の様相を呈している。それは米国においてコロナ病が「トランプ病」であるのと同様である。