新型コロナと人種差別
1. アジア人と白人
今となっては笑い話みたいな話だが、3月中頃までは欧米の白人たちはアジア人を見下していた。
「アジア人はみなコロナ持ちだ」と思っていた。
典型的なのはトランプの「中国ウィルス」呼ばわりだが、生活の現場でもときにあからさまな差別があった。
ニューヨーク・タイムズは「ダイヤモンド・プリンセスは今や、海に浮かぶ小型版の武漢だ」と断じた。このとき、それが米国の船だということは念頭にない。
中国人と似たアジア人は差別的な扱いを受けた。イタリアの学校では、アジア人に対して医師の診察を受けるまで登校を禁じた学校があった(なんとあの聖チェチリア音楽院)。
感染症は日々、人々が潜在的に持つ差別意識を顕在化させる。これは連帯しようと努力する人々にとって最大の妨げになる。
ところが、これがパンデミックになって話が変わった。
いまや医療崩壊も起きているイタリアを支援するため、中国から医療チームが派遣されている。
中国のネット上にはこんな声も上がっているそうだ(FNN)。
「中国が全力で感染対策している時に他国は批判ばかりしていた。私達は正しいと証明した。彼らは今後、自らの無知の犠牲を払う」
一方で、第二波予防と称して国内在住の黒人への差別も公然化しているという情報もある。
2.内在化した人種差別
コロナは、国籍も人種も階級も関係なく、誰でも平等に襲うと思ったが、そうではなかった。
差別は白人対黄色人種というわかりやすい差別から国内の階級差別へと内在化しつつある。
ミルウォーキーでは人口の黒人比率は26%だが、コロナ死者の約70%に上っている。ルイジアナ州では、黒人は人口の32%だが、死者の70%を占めている。ミシガン州では、黒人は人口比14%だが感染者の33%、死亡者の40%をしめる。シカゴでも死者数の70%近くを黒人が占めている。(ワシントン・ポスト)
それが経済格差だ。黒人は貧しいから保険に加入していない。そもそも黒人地域にはまともな病院がない。
だから高血圧、糖尿病、肺疾患、心臓病などの持病持ちが多く、コロナにかかれば重症化する。
他にも理由は山ほどある。
黒人は低賃金のサービス業で働いているから休めない。集合住宅に住んでいて、公共交通機関で通勤するから、不特定多数の人と接する機会が増える。
アダムス米公衆衛生局長官はこう告白した。
「私自身、高血圧だし心臓疾患もあります。ぜんそく持ちだし糖尿病予備群でもあります。私はアメリカで貧しく育った黒人を象徴しているのです」
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