SDGs(持続可能な開発目標)について

1.SDGsとはなにか

Sustainable Development Goals の略。“s”は複数形の”s”なのでエスディージーズと読む。恥をかかないよう一言。

2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標です。

17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない」(leave no one behind)ことを誓っています。

2.なぜSDGsが叫ばれるようになったか

20世紀の最後の20年間、ネオリベラリズムに基づくグローバリゼーションが拡大しました。

これは一部の企業(とくに米国の情報産業)の活性化により景気の回復をもたらしましたが、それと引き換えに貧富の格差の拡大と、貧困層の社会的排除という深刻な問題を生み出しました。

その傾向は特に若者層、発展途上国という地球の未来を担う社会集団に顕著に現れました。

そのために社会のひずみと歪んだ風潮が、世界中のいたる所で強まっています。

3.SDGsは何を目指すか

まず、格差→貧困+差別という連鎖をどう断ち切るかというグランド・デザインが必要です。

それが「社会的包摂」という考え方です。

すなわち地球上の誰一人も取り残さないこと、僧いう世界を実現するという構えです。

ヘイトや差別観にもとづく行動が青年の間に広がっていますが、その多くは自らも差別され貧困に追い込まれているのです。

多くの国で、若者の失業率はふた桁に達し、中には半分以上が失業という状態すら生まれています。青年は社会から排除され、貶められているのです。

これらを解消するには個別の対応ではなく、とくに仕事面での保証が必要です。納得の行く仕事と暮らして行ける賃金は、包摂力のある世界を作る上で必須です。

4.企業の社会的責任 CSR

仕事を具体的に保証しているのは企業です。個別企業というのではありませんが、企業全体の社会的任務が問われて然るべきです。

このような企業の社会的責任を求める考えを「企業の社会的責任」(Corporate Social Responsibility)とよびます。

これはメセナとか社会貢献というのとはレベルの違う話です。あくまでも自主的な企業活動の一部であるとはいえ、一定の社会的合意をもふくむものです。

5.企業への具体的要請

CSRはイギリスのブレア政権で始められ、欧州金融危機さなかのEUで強化され定式化されました。

企業は2つの側面から規定されています。

出資者による所有と運営という面、そして労働者など生産組織に関わる人々、商品やサービスを利用する消費者などです。後者は「利害関係者」(ステークホルダー)と呼ばれます。

EUはこの2つの側面をすり合わせ、それらの共通価値を拡大していくようもとめました。

たしかに利益をどう分配するかということだけに限れば株主と利害関係者はゼロサムの世界にあります。さらに利害関係者の間でもなにかと衝突はつきものです。

しかし企業というのは社会分業の中で役割をにない社会活動の一部を担っているわけですから、その公共的性格は誰もが了解し受け入れなければなりません。

6.企業は何をなすべきか

企業はビジネスを展開するにあたって、企業活動による負の影響を減らさなければなりません。

そのために、少なくとも長期の企業戦略においてはCSRを組み込まなければなりません。労働安全や福祉に加えて、広範な利害関係者への配慮もなされなければなりません。

これは決してネガティブな課題ではありません。ステークホルダーの多様な要求を満たすことは、そのための革新的なサービスを生み出すことに繋がります。

こうして社会課題に対応しつつ企業価値を向上させるという企業活動スタイルに脱皮して行くことがもとめられていると言えるでしょう。

日経新聞「やさしい経済学」(長谷川直哉さん)より

(SDGsをめぐる連載のうち企業責任の部分を要約したものです)