シンポ「朝鮮半島の非核化と東アジア平和構築」
が行われ、その要旨が日本AALAの機関紙に掲載された。
主催者の坂本恵先生のまとめをさらにピックアップして紹介する。演者は南基正さん、李俊揆さん、李柄輝さんの三人である。
A 南基正さんの発言 「朝鮮半島の平和形成過程と日韓関係再構築
ー2つのプロセスの相互関連」
ー2つのプロセスの相互関連」
1.朝鮮半島の平和形成過程と日本の役割
和平の動きが始まって3年になる。日本はこの動きに加わらなければならない。なぜなら日本は“後方基地”として朝鮮戦争に事実上加わってきた当事国だからである。
関係六カ国のうち五か国はそれぞれこの間の和平の動きに関わってきた。日本だけが外れたままである。
そのハードルになっているのが拉致問題である。しかししそれを理由にして、東アジアを平和と希望の拠点へと転換すること、“歴史の課した宿題”を解くことを怠ってはならない。
2.東北アジア非核地帯の可能性
この項は、以前からの南先生の所説であるが、正直むずかしい。
骨組みとしてはこういう論理だ。
東北アジア平和構想の具体的一歩は非核地帯の創設だ。
まず南北だが、これは18年の板門店宣言で基本的認識を共有した。
南北はそれぞれ、戦場国家から脱皮することを選択した。このことは基地国家日本にもそこから脱皮するチャンスを与えている。
ついで韓日だが、これは98年の韓日共同宣言で、韓国が日本の「非核三原則」を評価するという形で価値を共有した。
そして朝日間でも、02年の朝日共同宣言で、北の核問題を国際法に沿って解決するという原則を共有した。
すなわち、日・韓・北の三者間で非核地帯条約へと至る確認は、原理的にはすでに形成されている。
3.日本の市民的イニシアチブがカギを握る
安倍内閣は成立以来、日韓・日朝の関係を冷却化し疎遠化することに傾注している。このため平和構想への道は遠のいているように見えるが、客観的状況はそうではないと思う。
日韓の市民が連帯し平和への動きを強めることは、情勢を大きく動かす可能性がある。とくに日本において憲法改正と軍事化を阻止する闘いが大きな役割を果たすだろう。
B 李俊揆さんの発言 「朝鮮半島の平和形成過程と東アジア国際秩序の展望」
題名としてはこちらのほうが大風呂敷で、いわばすべてである。
ただ坂本先生の要約を見ると、実際は南基正さんの緒論の資料的補強を内容としているようだ。
1.平和形成の3つの段階
18年9月の南北首脳会議での共同声明を読み込むと、平和形成過程は3つの段階を念頭に置いていると言う。
① 南北分断体制の克服
② 冷戦構造の2つの柱である朝米関係と朝日関係の改善
③ 東北アジアの安全保障体制と多国間協力
2.6カ国協議体制の意義
6カ国協議はすでに15年間も店ざらしとなっているが、東アジア平和の枠組みとしての先進性を失っていない。
05年の第4回会談で共同声明が出されている。それに基づいて、07年2月に「初期段階の措置」という合意が成立している。
その措置は次の5つである。
①朝鮮半島の非核化
②米朝国交正常化
③日朝国交正常化
④経済及びエネルギー協力
⑤北東アジアの平和及び安全のメカニズム
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