インドの不況が深刻らしい

日経新聞日曜版(16日)の一面トップが「インド、金融不安の足音」というもの

内容は
1.インドが信用不安と景気低迷のダブルパンチを受けている。
2.信用不安が引き金になって景気低迷に拍車をかけている。
3.信用不安の主因は国営銀行がずさんな融資で不良債権を増やしたため。

ということで、ではどういうふうにして不良債権が増えたのだろうか? というのがこの記事の主題。

ニューデリ駐在の馬場記者の分析では、

① 2016年の末に政府が高額紙幣を廃止した。
② 金の置き場に困った人々がタンス預金を銀行に預け入れた。
③ 銀行は金余りとなったが、貸出金利は低下した。
④ この余剰資金はノンバンクに流入した。雨後の竹の子のようにノンバンクが出現し、ずさんな審査でずさんな融資を行った。
⑤ 18年夏、大手ノンバンクのIL&FSが大量の焦げ付きを出し債務不履行に陥った。
⑥ これをきっかけに銀行や監督当局が警戒を強め、ノンバンクへの資金流入がストップした。
⑦ 貸し渋り、貸し剥がしで個人ローンが困難になり、住宅・自動車の販売が激減した。

というスキームである。1990年代のバブル崩壊時の日本と酷似するパターンだ。

一応数字も上げておこう。

①昨年、インドの銀行融資に占める不良債権の割合は8.9%。
②この不良債権率は、この5年間で5%増えた。
③銀行のノンバンク向け融資残高は、18年をピークとして半減している。
④ 経済成長率は4%台に低迷しており、不良債権率を押し上げるという悪循環に陥っている。

ということで、かなり不況は長期化しそうな雲行きである。

世界経済を押し上げてきた中国とインドが失速すれば、ただの金貸し国家にすぎない米国経済がたちまち資金不足に陥るのは目に見えている。

アメリカの強みはドルと金融システム、情報プラットホームの3本柱だが、その中でアキレス腱はAIプラットフォームであろう。

仮想通貨やブロック・チェーンが拡大した際、このフィクションがいつどういう形で崩れるのか、想像力を鍛えなければならない。