本日、パラサイトを見てきた。
それまで8番か9話でやっていたのが、アカデミーとったら大きい3番に昇格して上映回数も増えた。
それで見終わった感想といえば、「ウーム」ということになる。
いかにも韓国映画らしい、やや強引だが力でグイグイ押してくる映画だ。
どうしても是枝監督の「万引き家族」と比較してしまうのだが、一言で言えば「艶」がない。艶がないから余韻が残らない。なぜだろうと考えて、やはり4人家族の個性が描けてないことが弱点なのではないかと思う。
映画館を出たあと役者の顔が思い浮かんでこないのである。4人が4人とも薄っぺらい。特におっかさん役がまったく無個性なのが家族全体の印象を希薄にしている。樹々希林とは雲泥の差だ。おっかさん役のキャラで言えばむしろ安藤サクラが相当するのだが、難しい役を見事に実在感を持って演じていた。そこはかとなく色気さえ漂わせていた。
ネタバレになるが、おっかさんが元の女中を蹴っ飛ばして死なせてしまう、あの一瞬はこの映画の肝なはずだ。おっかさんが描けていないから、あのエピソードがまったく生きてこない。
最後はタランティーノばりの血しぶきとなるが、どうもあそこまで行くと引いてしまわざるを得ない。
総合的に見れば万引き家族のほうが数段上だ。
スラムを漫画チックに突き放しているのも違和感がある。私は25年前、北海学園の加藤先生に連れられてソウルの山の上のスラムを訪れた。たしか月見丘と言ったのではなかったか。彼らは朝鮮戦争の頃、北から逃れてきた人たちで、そこはいわば難民キャンプであった。彼らはただ貧しいだけではなくピンミンとして差別されていた。彼らはとても優しくて、ひっそりと、豊かではないが穏やかに暮らしていた。
だから、彼らを相対的貧困層というのではなく、パラサイトと呼ぶのにはなにか強い抵抗を感じてしまうのである。
率直に言って、韓国映画にはもっといいのがたくさんある。あえてこの映画を社会風刺だとか、反差別だとか、あれこれと深読みしなくてもいいのではないだろうか。