1月19日の日経日曜版のトップは米国債の動向についての海説。後藤達也記者の署名記事だ。私の所感を交えつつ記事を紹介する。

1.米政府の債務が途方も無い水準になっている

世界経済で最大の問題は米中摩擦だが、金融に絞ってみると一番の懸念はアメリカの財政赤字だ。

赤字額は単年度で1兆ドルを超えた。債務残高(累積赤字)は年間GDPの額と同じだ。これは第二次世界大戦の直後以来の数字だ。

借金が増えれば当然利子もかさむ。利払いは年間4千億ドルに膨らんだ。

2.トランプ減税と赤字

財政赤字の原因ははっきりしている。大型減税だ。就任後3年、そのための歳入欠陥により財政赤字は5割増えた。

医療費なども歳出を押し上げている。これは医療・薬品・保険業界の法外な要求を丸呑みしているからだ。

3.債務は国債で相殺されている

債務が国債の発行でカバーされるのは当たり前の話だが、他の国では当たり前ではない。

日本のように国債が国内で消化されるのなら、それで回らないこともない。しかし多くの国では対外債務となる。アメリカも例外ではない。

しかし返済能力に不安が生じれば、国債は見向きもされなくなる。外貨は逃避し、通貨は暴落し、悪性インフレが襲来し、あっという間にデフォールトを起こす。

4.しかし米国債は絶好調だ

米国が財政危機にあるのだから、米国債も危機にあるはずだ。外国の資金が逃げ出しても不思議ない。なのにますます米国債は買われるようになっている。

それでも1%以上の金利が付けばマイナス金利の独仏に比べ御の字である。日本などは買おうと思っても、そもそも市場に国債がない。

株高にも関わらず国債も売れる。10年物の利回りは1年前より0.1%低下した。すなわち買付価格は上昇した。
株との間に奇妙なウィン・ウィン関係が成立し、国債高が株高を支えている。

5.誰が米国債を買っているのか

数字があまり系統的に掲載されていないので、よくわからないが財政赤字が年間1兆ドルとすると、その多くが国債残高の増加分となる。

その中で、外国人が持つ国債の増加分は4700億ドルとされる。単純化すると、新規発行分の半分は外国人が買ったことになる。ちなみに一昨年は600億ドル程度だったようで、8倍の激増だ。

国別に見ると、日本が1200億ドルを占めダントツである。中国は逆に400億ドルを減らしている。欧州はまとめても日本をかろうじて上回る程度だ。

つまり、日本(とアジア新興国)が米国の財政赤字、財政危機を支えている構図となる。

6.この道は「持続不可能な道」

この奇妙な蜜月関係は、しかし最初から絶望に終わる運命を担っている。

利払い費は20年に4600億ドルに達する。そして25年には7200億ドルに達すると見られる。これは現在の国防費7000億ドルを上回る。

チャールストン大学のバンデンバーグ教授は「米財政は持続不可能な道を進んでいる」と指摘する。

これは自然死への道をたどったとしての仮定であるが、おそらくその前にさまざまな形での資金ショートがやってくるだろう。

いずれにしても「最後の日」は遠くない。そのときまっさきに火だるまになるのが日本であろう。