1月20日にILOの報告(2020版)が発表され、各社が報道している。

ILO駐日事務所のページにその抄録が掲載されている。


1.労働需給のミスマッチ

世界の失業者数は1億8,800万人、失業率は5.4%。
失業者数はこの9年間ほぼ横ばいであったが、今年(2020年)には約250万人増えると予測されている。

不完全就業者が1億6,500万人。労働市場に加わる意思を失っている人が1億2,000万人。
合計で4億7,000万人の労働力が十分に活用されていない。

2.所得格差とその傾向

労働者が受け取る所得の割合(労働分配率)は、この間世界全体で大きく低下した。2004年には54%だったのが、2017年には51%に減少した。

働く貧困層(購買力平価建ての日収が3.20ドル以下)は6億3,000万人である。これは世界の就労人口の5人に1人に当たる。この傾向は途上国でより著明である。

3.青年の失業

多くの一般の人たちにとって、仕事を通して豊かな生活を築くことはより一層難しくなってきている。

とりわけ、青年(15~24歳)の失業問題は深刻である。世界で2億6,700万人(22%)の青年がニート状態(就業も就学も訓練受講もしていない)にある。

それに加えて、多くの若者が低劣な労働条件を耐え忍んでいる。アフリカでは、非正規雇用の比率は95%に達している。

4.保護主義の高まり

保護主義や貿易制限の強化は、雇用に悪い影響を与えている。

経済成長率の低下は、低所得国における労働条件の改善を遅らせ、貧困削減に向けた努力を妨げている。