本日の赤旗、一度読み流してしまったら、何処にあるのかわからないような記事。
14面の社会・総合面という雑然とした紙面に埋もれてその記事はあった。
見出しは
隕石から糖分子検出
サブ見出しが
地球初期、生命の材料に
というもの
主な内容は
隕石の分析で「リボース」が検出されたという情報。
その隕石は2つ。一つはオーストラリア、もう一つはモロッコで発見された。
いずれも40億年以上前に小惑星帯から飛来したもの。(その根拠は明らかにされていない)
これを日本の研究施設(複数)が分析して、そのなかに「リボース」を発見した。

じつは記事の情報そのものより、記者のちょっとした追加情報が面白い。ちょっとしたというが、短い記事の中によくこれだけの情報を詰め込んだなと感心するくらい密度が濃い。

1.40億年前の太陽系

太陽系は46億年前に形成され始めた。超新星爆発で散らばった星間物質がふたたび集まって形成されたと言われる。
45億4000万年前に地球が誕生した。その頃太陽系の外側から冷えてきて、水素化合物が凝集し固体となったためである。
40億年前前後に「後期重爆撃期」があり、小惑星帯から大小の隕石が降り注いだ。

と、ここまでは私がウィキペディアから拾って突っ込んだ記事。

2.原始生命飛来説

現在は、この隕石に乗って生命の材料となる有機物が飛来したというのがほぼ定説になっている。ただしそれだけでは結論を先送りしただけで、隕石の故郷でどのようにして有機物が形成されたかの問題は謎なのだが…

もう一つはどのレベルの原始生命が来たのかも議論の的になっている。有機物が来たことまでは一致するが、アミノ酸についてはいまだに議論が分かれる。タン白や核酸までは流石に無理だろうというのが大方のところだ。

今回の発見は、そのギリギリのところまで迫った研究だから相当の話題になるだろう。記事では東北大学の先生の談話を引用している。
地球外の糖分子が生命の材料の一部となった可能性がある。
そこまで行くと、「材料の一部」と言っても言外に「生命外来」説と受け止めたくなる。

3.リボースの発見とその意義

ここがこの記事の環である。
現在のほとんどの生物はDNAが遺伝情報を担い、RNAが補助してタンパク質を作りますが、
地球初期の生命は、RNAがDNAとタンパク質の両方を担っていた。
…リボースはこのRNAを構成する主要な糖分子である。
と書かれている。

実はこの話は初耳だ。

先日、RNAについては勉強したが(文末に記事一覧あり)、RNA起源説についてはいろいろ弱点も多く、むしろタン白が先で後から作成情報をRNAに預けるようになったのではないかという説のほうが有力なように感じていた。

そもそも、リボゾームという構造が宇宙船の如き構造で、あまりに立派なもので、これがどう作られたのかという謎を解かないと、“使いっぱしりRNA”の意義もわからないのではないかと感じていた次第である。

それにリボースという多糖が怪しい。「リボース(Ribose)は糖の一種で、五炭糖、単糖に分類される」と書いてあるが、その絵(下図)がメチャクチャだ。
D-リボース
{{{画像alt1}}}
フラノース環 (五員環)
{{{画像alt2}}}
ピラノース環 (六員環)
{{{画像alt3}}}
     鎖状構造
    Wikipediaより
なんでこれが一つのグループなのか、私にはさっぱり飲み込めない。端的に言えば核酸の塩基とくっつけるものなら何でもいいということみたいだ。こんなものに生命の源を仮想するのはどう考えてもおかしい。

4.核酸は生命そのものではない

それと核酸というのは生命の“マーカーの集合”であり、生命そのものではない。
「生命というのはタンパク質の存在のあり方」(どうでもいいのだが、一応エンゲルスの言葉)である。核酸の存在のあり方ではない(エンゲルスは核酸など知らない)。

真実を書いた素晴らしい本であっても、本から真実が生まれるわけではない。このアタリマエの事実を踏み外してはならないと思っている。

したがって、この説には現在のところ素直には従えない、というのが率直な感想である。
しかしそれにしても素晴らしい記事で、刺激になった。朝日新聞よりはるかに高水準である。ありがとう。

5.付録 RNA=生命の起源説の歴史

私の以前の記事からピックアップしたものです。

1953年 S.ミラー,始原の大気に相当するメタン,水素,アンモニア,水蒸気の混合ガスを入れたフラスコ内で火花放電をさせ,簡単なアミノ酸をつくりだすことに成功。

1969年 オーストラリアに「マーチソン隕石」が落下。100 種近いアミノ酸が同定される。

1980年 化学反応を触媒することができるRNA分子が発見される。RNA触媒(リボザイム)と名付けられる。

1986年 ウォルター・ギルバート、RNAワールド仮説を提唱。リン脂質を合成するリボザイムができ、細胞膜に包まれたリボザイムが出現、さらにタンパク質やDNAを合成するリボザイムも出現した。

1999年 フリーマン・ダイソン、「ゴミ袋ワールド仮説」
オパーリンのコアセルベートのような原始細胞状構造体が多数できた。そこに自己複製するRNAが取り込まれ、共生するようになった。
これでミトコンドリアも葉緑体もみな説明できる、まさにゴミ袋だ。

下記もご参照ください