二風谷の展示がすごい

天気があまりに良いので、今年最後と思い遠出した。

高速から日高に入りそこから二風谷に向かった。紅葉が盛りでというか少し見頃を過ぎていて、落葉を敷き詰めた中に楓の紅が強烈な輝きを示していた。

二風谷は以前から気になっていたところで、瀬川拓郎さんは「アイヌ文化の発祥地」とまで言っている。ユーカラの多くもこの地に伝えられたものだ。

明治以降に訪れた外国人の数も異常に多い。いわば研究者のメッカとなっている。

博物館が3つあって、その中で歴史館というのを選んで入場した。理由はただだからである。
そこしか入っていないので他との比較はできないが、良い施設であった。鵡川から幌尻岳までを納めた、5メートルを超える大パノラマは圧巻である。屋上からの眺めも素晴らしいものだった。

二風谷にはかなり金が入っているようだ。ダムとの関係で建設省から入ったか、故萱野議員の政治力で中央からつぎ込んだか、とにかく町立の博物館とは思えない展示だ。

展示は2つの柱からなっている。これには他の展示施設と比べ際立った特色がある。

一つはアイヌの保存していた、あるいは遺跡から掘り出された遺品の数々だ。

立派な大刀や鉄製品、美しい装飾品、それらは日本人の有力者の持ち物に遜色ない。どうも既存のアイヌ観を一旦捨てなければならないようだ。それらの遺品の多くは17世紀後半の樽前山噴火の前のようだ。

しかもその頃は、広範に畑作が行われていた痕跡がある。狩猟・採集生活と言うより農業が生活の基本だったのではないか。ただし本州に輸出するための鳥獣の捕獲は一種の産業として営まれていた可能性がある。それは現金化され、和人の制作した商品と交換された。

この経済的余裕がアイヌ文化の成長をもたらしたのであろう。

もう一つは明治期に二風谷を訪れた外国人の多さである。