1.ウォーレンに注目すべき理由

これまで我が国の、とくに左翼層の中ではウォーレンはあまり注目を浴びて来なかった。

彼女はエスタブリッシュメントに片足突っ込んでいるし、「社会主義」という過激な言葉も口にしない。

しかし、彼女は1%の富裕層の懐ろにいかに腕を突っ込むかという点では十分に過激だ。

これまでの所、議論の方向としては、サンダースが「民主的社会主義」というスローガンで、正義の社会のイメージ構築に勢力を注いでいる。これに対しウォーレンは、いかに富裕層から金をむしり取るかという議論に集中している。

それはなかなかクロウト受けする議論である。世界の未来を占う上でも、たいへん興味のある、実りのある議論になっている。

おそらくウォール街の銭ゲバたちにとっては、ウォーレンのほうがはるかに気にかかる存在、一番出てきてほしくない候補なのではないだろうか。

サンダースが心筋梗塞で倒れてしまったから、というのでなく、まじめに、21世紀の資本主義にどう立ち向かっていくのかという観点から、ウォーレンの議論を検討して見る必要があるだろう。

2.ウォーレンとは誰か

まずはウィキペディアから。

エリザベス・ウォーレン。今年70歳を迎えた。サンダースほどではないが決して若くはない。

まずこの年齢を我々はしっかり受け止める必要がある。今世界中で、この歳の人間が立ち上がる必要があるということだ。

彼女は1949年、オクラホマで「中流階級の底辺」として生まれた。12歳の頃、父は心筋梗塞で倒れて働けなくなった。彼女は叔母が経営するレストランでウエイトレスとして働いた。

NASAのエンジニアと結婚し専業主婦となったが、娘が2歳になると法学部に進学した。1976年に司法試験に合格し、自宅で弁護士の業務を開始した。

彼女は必ずしも法学者としてのエリートキャリアを上り詰めてトップに来たわけではない。テキサス大学、ペンシルベニア大学、ハーバード・ロー・スクールと積み上げてきた。

おそらくは、かなり論争的で戦闘的なリベラルの代表格として注目される存在であったのだろうと思う。

それが2008年のリーマンショックを機に、政界に踊り出ることになった。

オバマ政権は「不良資産救済プログラム」(TARP)を立ち上げ、その監督のために議会監督委員会メンバーを組織した。ウォーレンは乞われて議長を務めた。

彼女は一気に多忙となり、大統領補佐官、消費者金融保護局の顧問を兼任した。

マイケル・ムーアの映画などに出演し、知名度が上がっていった。

この後のウィキペディアの記載は一方的であり、あまり論理的とはいえない。


3.今必要なのは「勝てる候補」なのか? 「勝つにふさわしい候補」なのか?

いまやバイデンでもウォーレンでも、ひょっとすればサンダースでも勝てるかも知れない情勢になっている。

とすれば大事なのは、「どう勝つのか」ということになる。バイデンで勝っても勝ったことにはならない。ではウォーレンならどうなのか?

フェイスブックのザッカーバーグは「それは最悪だ」という。まずウォーレンはIT大手について、市場を独占し「競争を無力化している」と主張している。

仮にウォーレンが民主党の指名を獲得すれば、ウォール街の大口献金者は共和党のトランプ大統領支援に回るだろう。だがもしウォーレンが勝利すれば、それは自殺行為となるかも知れない。

ここまで主旨を貫けるのであれば、私たちはウォーレンで十分である。はたしてどうだろうか?

4.ウォーレンの政策

そんな状況の中ではじめて日経(10月7日号)がウォーレンの政策を正面から取り上げた。

最初にも取り上げたように、ウォーレンの政策はバラ色の未来を語ることをしない。その代わりに1%の富裕層を徹底して糾弾し、いかにして彼らから金をむしり取り草の根の大衆に振り分けるかに集中している。

その2つの柱がトランプ減税の見直しと富裕層への課税強化策である。

① トランプ減税の見直し

トランプ減税は法人税を35%から21%に引き下げた。これを35%に戻す。
ただしこれをすべての企業に適用するわけではない。法人税再引き上げの対象となるのは、全世界での税引き後利益1億ドル以上の企業のみである。
これは約1200社が対象となるだろう。

② 富裕層減税

最上位層への課税を強化し、10年間で3兆ドル(300兆円)の税収を確保。
これにより改装への社会保障給付を引き上げる。引き上げ幅は25%に達するだろう。

③ いくつかの独占禁止措置

トランプが破棄したグラス・スティーガル法を復活させる。
GAFAを分割し、権力の集中を排除する。
金融機関監視委員会の機能をさらに強化させる。

このように5寸釘を脳天にブスブス打たれてはさすがのGAFAも年貢の納め時というものだ。