萩原伸次郎 「恐慌と信用制度の崩壊」より

重金主義への回帰を阻んだもの

マルクスは金融恐慌を金融危機の本質とみなし、「信用主義から重金主義への転化」と呼んだ。

しかしこれは「3つの要因」により乗り越え可能となった。

1.金本位制からの脱却

第一次大戦後の不況において、英国は長期の不況に陥ったが、金本位制の停止→銀行券の大量発行により負の連鎖を断ち切ることに成功した。

2.大規模財政出動と金融緩和

需要の創出により、実体経済のテコ入れを行い、経済成長とインフレにより財政赤字を解消した。

3.不均等発展と新興国からの富の還流

海外投資が新興国の発展を促し、先進国は金融支配を強めた。その一部が還流し先進国を潤した。
金融恐慌時は資金が一気に流出し、新興国は資金不足に苦しんだ。

リーマンショックと1929年大恐慌の違い

1.アメリカと世界は、銀行を救済するのに全力を上げた。無制限に信用を供与し資金を注ぎ込んだ。

2.その結果、世界大恐慌は起きなかった。

3.並行して行われるべき金融改革は引き伸ばされ縮小され、キャンセルされた。

4.供与された資金は死蔵され、実体経済には還流されなかった。

その結果、経済回復は遅延し、失業は高止まりし、新興国経済・金融・財政は破綻した。貧富の差は一層強まった。ドルの支配力は絶対となった。