「生きていたんだよな」 
という曲があって、アイミョンという若手のシンガーが歌っている。
おそらくその歌詞は、今後詩人としてのアイミョンを縛り付けていく歌になるだろう。
ユーチューブでいくつか彼女の曲を聞いたが、おそらく彼女は曲作りの能力に長けた人であり、そちらで一流になっていく可能性はあると思う。
ただし超一流かと言われるとそれほどではないかも知れない。
「生きていたんだよな」 という歌は彼女のヒット曲だが、これ以上売れないことを望む。若し売れると、この曲が彼女の首を占めることに繋がりかねない。
この子は世間の見る目の浅はかさを非難しているが、その非難がすごく浅いのだ。自分を投影していないから、切れ味は鋭いが浅いのだ。少女がカミソリで何筋も手首を傷つけるように、鋭く、浅いのだ。だから世間に向けた非難がブーメランになって返って来かねない。そんな危うさを感じてしまうのだ。
青年の状況ははるかに厳しい

これは2012年の歌だ。青年の厳しさ、貧しさはもっと塩辛い。
2012年11月08日  さよなら バグ・チルドレン より

いつだって こころと言葉を結ぶのが 下手だね どうしても固結び
世界ばかりが輝いてゐて この傷が痛いのかどうかすら わからない
たぶん 親の収入超せない僕たちが ペットボトルを補充していく
鳥を放つ。 ぼくらは星を知らざりし犬として 見るだろう 夜空を
打ち切りの漫画のやうに 前向きな言葉を交はし 終電に乗る
地下鉄に轟いたのち すぐ消えた叫びが ずっと気になってゐた
いつも遺書みたいな喋り方をする友人が 遺書を残さず死んだ
雑居ビル同士のすきま 身を潜め 影が溶け合う時刻を待った

西宮から出てきた良家の子女が、北千住に住んでその町を歌うというのもありきたりだ。
北千住はもう少し陰影の濃い街だ。色んなものが吹き溜まっている。中央線の高円寺や荻窪駅を歌うのとちょっと違う。
たしかに有能なシンガーソングライターだし、魅力的な起ち居振る舞いの女性だ。若者世代の良質な部分として、だいじに見守っていこう。