1.日韓摩擦 安倍政権の狙いは「ファッショ的自立」
ファッショ的自立というのは、安保の枠内にとどまりながら、地域覇権を求め、そのために国内政治を軍国主義的に再編するという戦略路線。かつて1970年前後に「日本帝国主義自立論」と関連して萌芽的に語られた概念である。社会科学総合辞典には「日本型ファシズム」として記載されている。
日韓摩擦議論は、あたかも慰安婦・徴用工問題に起源があり、韓国側が言いがかりをつけてきたかのような装いが凝らされている。
これらの問題は過去の戦争の道義的清算の課題として避けて通れないものであり、世代を越えて議論し続けなければならないものであろう。また補償問題は当事者が次々と亡くなっていく今、緊急の対応が必要な問題でもある。
しかし、日韓摩擦が今大変緊急かつ重大な課題となっているのは、そのことではない。
むしろそれらの問題を逆手に取って安倍政権が繰り広げているキャンペーンが、何を目論んでいるかを明らかにすることである。
すなわちそれは九条改憲と日本の「ファッショ的自立」である。「日本軍国主義のファッショ的自立」というのは40年ほど前に一時使われた言葉だが、平ったくいうと「アニマル・ファーム」化である。
2.日経新聞の世論調査が示すもの
2.日経新聞の世論調査が示すもの
彼らの策動の成果は最近行われた、ある世論調査に如実に示されている。
それが日本経済新聞社とテレビ東京による8月30日~9月1日の世論調査だ。
韓国に対する輸出規制強化を「支持する」という回答が67%にのぼり、7月末の調査に比べ9%増えた。
韓国との関係に関する質問では、関係改善を急ぐ必要はないという回答が67%に達した。
安倍内閣の支持率は58%と前回7月の調査から6ポイント上昇した。不支持率は5ポイント下がり33%だった。憲法改正に向けて各党が国会で具体的な議論をすべきかどうかを聞いたところ「議論すべきだ」は77%、「議論する必要はない」は16%だった。
数字はともかく、質問の流れには政財界主流の意図が透けて見える。これほどあからさまに、日韓摩擦と憲法改正を結びつけた世論調査はない。彼らは世論調査という形で日本のファッショ化を煽り立てているのである。
問題はここにあるのであり、しかもそれがすでに重大な局面に進んでしまっているということを明示している。
したがって私たちは、まず何よりも日韓摩擦を利用した日本のファッショ化をなんとしても阻止することに傾注しなければならない。
しかも日韓摩擦がらみでメディアの側にすでに囚われてしまった人をもふくめて、団結して危機を乗り越えなければならない。個別の論点に機械的に対応している暇はないのだ。
3.罵り合いはたくさんだ。争点のシフトが必要だ
争点のシフトが必要なのである。
争点のシフトが必要なのである。
私たちが作り出さなければならない争点は、日韓領国人民は決して争ってはならないということである。もっと正確に言えば「争わされてはならない」ということだ。
ファッショ化は相互不信と敵視の応酬、憎しみと恐怖の感情がもたらす。私たちには相互理解と優しさ、分かり合おうとする努力がもとめられる。
それと同時に、日韓摩擦を利用して安倍政権が作り出そうとしている、私事権の極小化、白か黒かの貧弱な価値体系、憎しみの体系としての国家づくり、恐怖の均衡によって成立する国家関係… これらすべてを拒否する運動が必要だと訴えなければならない。
慰安婦も徴用工も口を閉ざしたままでいられる問題ではない。しかし今はその10倍の量で両国の平和と友情について語らなければならない。
4.ホワイト国条項も、GSOMIAも、もともとは冷戦条項だ
ホワイト国条項も、GSOMIAも、もともとは冷戦アイテムであり、朝鮮戦争を遂行するための仕掛けであるから本来ないほうが望ましいものである。
しかしそこだけいじっても、物事がうまくいくとは限らない。全体の構造を包括的に変更していくような多国間の枠組みが必要である。一歩間違えば大きな混乱を招かないとも限らないものだから、政争の具にすることなく慎重に対処すべきものであろうと思う。
4.ホワイト国条項も、GSOMIAも、もともとは冷戦条項だ
ホワイト国条項も、GSOMIAも、もともとは冷戦アイテムであり、朝鮮戦争を遂行するための仕掛けであるから本来ないほうが望ましいものである。
しかしそこだけいじっても、物事がうまくいくとは限らない。全体の構造を包括的に変更していくような多国間の枠組みが必要である。一歩間違えば大きな混乱を招かないとも限らないものだから、政争の具にすることなく慎重に対処すべきものであろうと思う。
2019年09月05日 日韓GSOMIAの消滅とファッショ的自立路線
2019年09月05日 GSOMIAに関連するタイムテーブル
2019年09月04日 日韓摩擦 安倍政権の狙いは「ファッショ的自立」
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