こちらは正真正銘のお医者さんが書いたレビューで、とても読みやすい。というか安心して読める。
脳科学屋さんのオキシトシンの話は、当面、聞き流しておいて良さそうだ。
オキシトシンはノルアド作動系のストレスに反応して分泌されるので、オキシトシンを定量すると原因となるストレスの種類を分けることができる。これが目下のところ確立された“オキシトシンの有用性”ということになる。

1. ストレスの歴史

19 世紀初頭 ウォルター・キャノン、ストレスがホメオスタシスを乱し,生体に歪みを生じさせると指摘。交感神経 - 副腎髄質系の活性化に要因を求める。

ハンス・セリエ、ストレスの種類によらず非特異的に起こる全身反応を指摘。中心となるのが ACTH -副腎皮質ホルモンであると主張。

2. ストレスの定義

多くの生理学者は,「ストレス刺激はストレスホルモンの賦活化を誘発するもの」と捉えている。

例えば視床下部(CRH・バゾプレシン)、下垂体前葉(ACTH)、副腎皮質系の活性化,交感神経・副腎髄質系の賦活化(ノルアドレナリン・アドレナリンの放出)である。

刺激の形態としては物理的刺激と精神的刺激に分けられる。

3.ストレス反応を修飾する因子

1) 時間経過
急性反応が生じる警告期→生体に適応性が出来た抵抗期→生体の抵抗力が落ちた疲弊期

2) 発達と妊娠分娩
幼若期はストレス反応は同程度あるが、副腎皮質ホルモンの反応は高くない。
妊娠分娩時にはストレス反応が減弱する。原因は複数考えられ、未解明である。

3) 幼若期体験
幼若期体験は,その後のストレス反応を変容させる。これも原因は未解明である。

4) 環境

5) 摂食状況
空腹だとストレスが増強する。
ついでにちょっと面白いのは、飢餓時に減少するレプチンを前投与するとノルアドレナリン放出が減弱すること、逆に飢餓時に増えるグレリンの投与でノルアドレナリン放出が増強し,ACTH 反応も増強するのだそうだ。

6) 遺伝的要因
最近,この原因因子の一つがバゾプレシンだと報告されている。ということはオキシトシンもありうるかな。

4. ストレス反応を伝達する神経回路

神経内分泌系のストレス反応は,脳幹部(橋と延髄)にあるノルアドレナリン・ニューロンが少なくとも一部を担っている。

これを確認するのがオキシトシン・ニューロンの活性化試験である。

延髄のノルアドレナリン・ニューロンが視床下部へ投射されると、恐怖刺激に対するオキシトシン反応は減弱する。

ところがノルアドレナリン・ニューロンを介さないストレス(たとえばモルヒネ
禁断刺激)はオキシトシン反応を減弱させない。

ということで、二つのストレス反応機序があると考えられる。