1.ユニラテラリズムの世界に直面して

今世界では非常に複雑な動きが生まれています。
トランプの政治は、当選当時のポピュリスム的言動とは様相を異にしてきています。

一言で言えば、私たちはまったく経験したことのない一国支配(ユニラテラリズム)の世界に突入しつつあります。

ここで私たちは不破哲三さんの言葉を思い起こす必要があります。
私が非常に大事だと思うのは、新しい現象、新しい事物が社会に生まれたときに、それにどういう態度でのぞむか…です。開拓者には既成のテーゼはないのです。新しい現象にぶつかったら、それを解明する道は、自分たちが鍛え上げてきた方法論をもって、その新しい現象を考察する以外にないのです
考えて考え抜いて、答えを求めていくほかありません。

2.歴史の推進力

その際に大事なことは「歴史的出来事の現実の推進力」がどこにあるのかという見方、すなわち「21世紀論」の視点と「変革の立場」を貫くことです。

その際に、AALA50周年事業の一環として行われた不破講演「アジア・アフリカ・ラテンアメリカ―いまこの世界をどう見るか」(2005年)は、連帯運動の「導きの糸」として未だに輝きを失っていません。

不破さんの時代認識の最大のポイントは、今の時代を「平和の世界秩序をめざす第二の波」と捉えることです。それは第一の波、すなわち第二次世界大戦直後の時期につづく大きな波です。

この第二の波、すなわち「21世紀の波」の特徴は、民族自決がいまや当然の前提となり、諸国民の尊厳を前提に平和の枠組みが作られようとしていることです。

もう一つの特徴は、「99%」と呼ばれる世界の圧倒的多数の人々がアメリカの一国行動主義を批判し、世界の平和ルールを擁護する方向に動き始めていることです。

この講演はすでに14年も前のものですが、その骨太な歴史評価は今もなお輝きを失っていないと思います。

まったく新しい世界政治に対応する上で、私たちは不破さんの提起を、重要な羅針盤として受け継いでいかなければならないでしょう。

3.変革の立場で評価することがだいじ

かつて「社会主義を目指す国」と呼ばれた国でもさまざまな否定的現象が噴出し、その存在意義そのものが問われている場面も目にするようになっています。
もちろんそれらの現象は事実を踏まえて厳しく評価しなければなりません。

ただその際も、功罪を明らかにし教訓を導き出さなければなりません。それが不破さんの強調する「変革の立場」だろうと思います。

なぜここを強調するか、
それは非同盟諸国や非社会主義の進歩的政権を、その欠点も含めどう見るかという課題につながるからです。

たとえばラテンアメリカの左翼政権は、正統マルクス主義ではありません。

別論文ですが、不破さんはパリ・コミューンについて考察したことがあります。
コミューンの指導部にマルクス主義者は一人もいませんでした。しかしマルクスは、コミューンの行動を最大限に評価したのです。
そのことを前提として、不破さんは「共産党がいないところでも新しい革命が生まれるし、科学的社会主義の知識がなくても、新しい社会の探求に進み出るのに不都合はない」と主張しているのです。

同時に、不破さんは中国を引き合いに出してこう警告しています。
いくら憲法に社会主義と書いていても、資本主義に引かれる考え方、気分が必ず現れる。それは土台に作用して、土台の社会主義部門を腐らせる可能性がある
つまり、社会のあり方が多様であるように社会進歩の形態も多様なのだから、状況に合わせて具体的に判断しなければならない。それと同時に、たんなる評論家的ランキングではなく、変革の立場から評価することが大事だということでしょう。

情勢が不透明な中、私たちはこの不破講演の提起に立ち帰り、基本的な姿勢を再構築する必要があると思います。