どうも、いろいろ調べてみると、「為替操作国」はアメリカの世論操作の可能性がある。

理論的には10%の追加関税は10%の通貨安で相殺することが可能である。さては中国側の「奥の手」かと興味を持ったが、中国側には為替を「禁じ手」として行使する意図も能力もなさそうだ。

たしかに下げ幅は大きいが、トレンドから見れば想定内の下げとも思える。

何が起きたのか

まずはニュース情報を総合してみる。

8月1日 トランプ大統領、中国産品に10%の追加関税を課すと発表。9月1日発動の予定。

8月5日 人民元相場が一時1ドル=7元台となる。これは11年ぶりの安値。

8月5日 トランプ大統領がツイート。「これは『為替操作』だ。中国は為替を操作して、米国からビジネスや工場を盗み出している。もう許さないぞ」

8月5日 米財務省、意図的に通貨安を誘導しているとして、中国を「為替操作国」に指定。この措置に伴う新たな経済制裁は無し。

8月6日 クドロー米国家経済会議委員長、「関税の重荷はほぼ全て中国側にかかっている。中国経済はボロボロになっている」と発言。

8月6日 中国人民銀行(中央銀行)は為替操作を否定。

8月6日 オフショア人民元は、7.1元台まで元安が進んだ。海外投機筋が元売りを主導している。


人民元相場: これまでの流れ

2005年7月21日 ドルペグ相場制(1ドル=8.28元)から管理フロート制(03%の変動幅)に移行した。同時に2.1%の切り上げ。

2007年5月21日 変動幅を上下0.5%に拡大。この結果、1ドル=6.83元まで上昇する。

2008年9月 リーマンショックが発生。人民元売り介入により、1ドル=6.83元に固定。

2010年6月 管理フロート制に復帰。1ドル=6.05元まで上昇。

2014年 人民元が下落トレンドに入る。経済成長率の鈍化、国外への資本流出が背景にあるとされる。

2015年8月 チャイナ・ショック。人民元相場が急落し、中国が制御不能な資本流出に見舞われる。

2017年 トランプ大統領の就任に伴い一時的な元高。トランプの元安攻撃に対応した可能性あり。

2018年~現在 長期の元安傾向が再現。米中貿易戦争やドル金利上昇による資金流出が背景となる。

今後の予測

アメリカにはまだまだ「経済・金融戦争」を拡大する余力が残されている。メディアはトランプにエールを送り続けている。

いまのところ中国はサンドバッグ状態に耐えるほかない。隠忍自重がもとめられる。今後は迂廻輸出や現地法人などの経営努力がもとめられることになるだろう。ただしかつての日米経済摩擦と異なり、中国には安保という重荷がない。その分フリーハンドを行使できる。

貿易赤字構造は究極的にはアメリカ自身の責任なのだから、何時までも踏み倒すわけには行かない。いづれツケが回ることになる。そのときアメリカ以外のすべての国がツケの支払いを求めることになるだろう。

とにかく最近のメディアの倫理的頽廃は目を覆うばかりだ。ほぼデマ宣伝みたいなものまで、権力側の情報をなんのためらいもなく垂れ流すから、よほど注意が必要だ。これが今回の出来事の最大の教訓かも知れない。


米財務省の「為替操作国」指定・三基準

(1)対米貿易黒字が年200億ドル以上、(2)為替介入(ドル購入)がGDPの2%以上、
(3)経常黒字がGDP比で2%以上
3つのうち、2つを満たすと「監視対象」に、すべてを満たすと「為替操作国」に指定する。

現在は日本やドイツなど9カ国が「監視対象」に指定されていいる。

チャイナ・ショック

2015年7月、中国で証券バブルが弾け、上海証券取引所は株価の30パーセントを失った。上場銘柄の半数以上が取引を停止した。8月には全世界同時株安がもたらされた。

「ファイナンシャルスター」記事を参考にしました。