種子法と農業

久田徳二さんの講義を聞いた。
「種子法廃止と食と農」と、やや長い題名だが、たしかにこれ以上は切り詰められない中身だ。
「食と農」というのは、政治・経済的に考えれば、食物の消費者と生産者の関係である。
食料というものを巡って、そのまわりに消費者・生産者という社会グループがある。その三角関係が今どう変わってきたのか、これからどう変わろうとしているのか…これが課題の大枠である。
そして、その変化の過程の中で種子法がどのような働きをしているのか、これが具体的な小状況である。

結論からいうと、種子法は生産者から生産の論理を剥奪し、市場の論理でがんじがらめにするものである。一言で言うと生産者が生産者でなくなってしまう、ただの労働者になってしまうのだ。

そうなるとどうなるのか。種子を独占する企業が資本の論理、つまり儲け第一主義を貫徹するのである。消費者の論理は生産者の論理に反映していたが、もはや消費者の論理に対応する生産者はいなくなる。市場経済の存立基盤が根底から失われてしまう。

嫌なら食うな!
これが資本の答えである。

遺伝子組換えとか知的財産法とか、各論的にはいろいろあるが、農業のあり方が根底から変わってしまうところに種子法の最大の恐怖があるのではないだろうか。

種子法と北海道

久田さんの講義は、時間制限もあってずいぶん端折ったものになってしまった。主催者側の勝手で、大変申し訳ないことだった。

それで、質疑応答の中で私が考えたことをちょっとまとめておく。

北海道は農業王国だ。ある意味、農業しかない地域にさせられてしまった。だから農業は生命線だ。だから農業のあり方が変わってしまうのは生命の危機をもたらす。

北海道農業が発展していくためには2つある。一つは日本の農業基地として販路を拡大することだ。もう一つは東アジアで特色を持ったアグリ基地として情報を発信していくことだ。
とくに後者の道は前途洋々だろうと思う。

その際の最大のブランドは北方系の食物バリエーション・まさに「北海道ブランド」だ。そして、日本産であるがゆえの安心・安全だ。これが付加価値となって圧倒的な競争力を獲得できることになる。

北海道を農業“逆特区”に

昨今は、各地で「特区」が話題になる。大体において良いことはない。加計学園だとかカジノだとか、独占企業や“お友だち”企業に都合の良いことばかりが「特区」の名目でゴリ押しされる。

私は、そういう状況の中で北海道の「農業特区」化を提案したい。

これは、いままでの規制緩和のための特区とはまったく逆の方向での「特区」だ。
つまり、規制を緩和させないで維持し、場合によっては強化し、儲けのためではなく安全を第一にする方向づけを明確にすることだ。企業のためではなく農業のための法的枠組みを整備することだ。そして農民第一の目線を貫くことだ。

TPPなどの国際枠組み、国内法体系のもとではなかなか困難なことであるが、だからこそ「特区」としてやっていけないのだろうかと考える。
もちろんその前にも北海道庁としてやれることはあるだろうし、議会も条例化の努力でこれを支援するべきであろう。
「北海道の自立へ」というスローガンは、公助と共助の隙間を埋めていく、そのような努力を含んでいるのではないだろうか。