リード

クーデターは偶然ではありません。 それはただ空から降ってくるのではありません。
それは特殊な材料と条件でつくりあげるものなのです。それが成功するには準備・計画・宣伝、それに時間とお金が必要です。

国内外の民衆が納得するために、宣伝は重要です。

クーデターとは選挙で選ばれた政府を強制的に辞任させることです。
それを納得してもらえるためには、国家が特殊な状況にあり、クーデターが論理的・必然的な帰結であることを、民衆に確信させることが必要です。

資本主義の下のマスメディアは、国家支配の道具の一部です。そして国家の重要な宣伝要素としての役割を果たすため、「客観的」で「自立的」であるという「名声」をしっかり利用します。

イギリスでは、BBCは人々が帝国主義的なクーデターを受け入れるように仕向けるスキルを完成させました。それが彼らがベネズエラについてしたことです。

BBCは1月16日、「廃墟の中の革命ーウーゴ・チャベス物語」という番組を放送しました。

これはマドゥーロをチャベス神話の後継者とし、彼に対するあらゆる行動を視聴者が受け入れるよう準備されたものでした。
そして一週間以内に、クーデター計画が発動したのです!

正しい一面

BBCはまたベネズエラの直面する問題を、チャベスとマドゥーロによる独裁の結果として描き出そうとしました。

ベネズエラ革命の経済、社会、政治的背景を説明しようとする視点は、まったく見当たりません。
そしてもちろん、アメリカの経済制裁がもたらしたものについては、まったく言及されません。

番組の冒頭から、彼らは「チャベス大統領の14年間は、今日みられる多くのポピュリスト指導者の先駆者だった」と主張しました。

チャベスのもとで、健康と教育におけるいくらかの前進がみられたが、それはごく初期のごく短期間のものだった」。そして同じ時期、「独裁権力のあくなき追求」が強められたと、BBCは主張します。

それが残りのシーンのほとんどです。

世界最大の石油埋蔵量があるにもかかわらず、この国は崩壊しました。
そこには混乱、貧困、暴力だけがあります。いまベネズエラは、世界で最も危険な国です。

チャベスは「力の集中」に夢中でした。民衆は「ただ一人の人物によって惑わされ、支配されていました」。その時、チャベスはその性格の最悪の側面を露わにしていました。

これは「客観的報道」が売りもののBBCが作り出した物語です。

人々は、ベネズエラの災厄は全て独裁者チャベスによって引き起こされたと信じるように導かれます!

それはBBCが沈んだ闇の深さを示しています。


チャベスを“批評するものたち

BBCの見解を裏付けるために、語り手に加えて8人がコメントを述べています。
大多数は反Chavezでした。

11年間チャベスの助言者であり支持者であったエヴァ・ゴリンジャーでさえ、チャベスに対する性的性格の非難“Me Too”をしました。(それにしても見事な大脱走だ。CIAが作った筋書きだろう)
彼女が言うような事件が起きたかどうかはわかりません。彼女とチャベスしかいない席での出来事ですし、チャベスは2012年に亡くなったので、自分を弁護することができません。

1998年の大統領選挙で、チャベスは56%の票を獲得しました。

これについてコメンテーターの一人ラウル・ガジェゴスは言います。
「それでチャベスは何を手に入れたか。それは軍事独裁者の地位ではなかったか」
「教養ある」大学教授マルガリータ・ロペスは、「チャベスには政治的経験がなかった」と述べました。

このあとも番組のウソはますますひどくなります。

しかし「客観的なBBC」は完全な嘘をつくことを控えなければなりません。半分の真実で十分です。

石油公社(PdVSA)は、国家によって所有されていました。しかし事実上、それは国家内の国家でした。石油収入の多くは、寡頭支配層に利益をもたらすよう取締役会によって配分されました。

人口の大部分が貧困の中で、飢餓と栄養失調に苦しみながら生活していました。
それでもガジェゴスは「政治はうまくいっていた」と言いはります。しかしチャベスの前に降伏したことは認めざるを得ませんでした。

チャベスは野党指導者が多数を占める石油公社を支配しようとして、「手綱をギュッと引き締めた」。
野党の支持者にとってそれは「共産主義者の乗っ取り」のように見えました。

2002年4月にチャベス政権に対しクーデターがおこされ失敗しました。
番組ではこの件で、チャベスはほとんど非難されているようにさえ見えます。

画面上、デモ参加者は政府側も反政府側も狙撃手によって殺されているように見えます。
これは真っ赤なウソです。当時のテレビの映像が明らかに示しています。狙撃は明確にチャベス支持派を目標としたものでした。

チャベスへの中傷

番組は言います。
チャベスは大統領の任期を経るごとに「力に酔いしれた」ようになった。そして力に身を任せるようになった。

しかし番組は2012年10月に起きた事実を隠すことはできませんでした。

彼の最後の大統領選挙に当たり、「全国の人々は死ぬことが分かっている人物に投票した。そしていまも彼を支持し信頼している」

皆さん、せっかく良い話をしているのに、気に入らない事実がジャマをするけど、気にしないでね。

BBCが知っていながら無視したことは、チャベスと民衆との生き生きとした結びつきです。

なぜ民衆はチャベスを愛したか。なぜならチャベスはベネズエラから貧困、ホームレス、飢餓、文盲を取り除くと宣言し、彼らの願いを代弁したからです。

番組はかくの如くです。それは全体としてチャベスのキャラ抹殺でした。

ついでジェレミー・コービン(英労働党委員長)もまた有罪であることが示されました。彼がチャベスと親しかったからです。
映像ではチャベスがイランのアフマディネジャド、リビアのカダフィ、イラクのフセインと挨拶をしているところが移されました。もちろんその中にコービン!も混じっていました。


帝国主義者の干渉

最後に、番組は3つの分野に言及しました。
それらがもっと展開されれば、チャベス政権下で起こったことがより正しく描かれたかもしれません。

第一がメディアの干渉です。ほとんどのメディアは個人的に所有されています。チャベスが大統領に選出された当初から、その大部分は彼の打倒を求めていました。

チャベスは「伝統的なメディアを迂回して」人々に直接話しました。それには国営放送の「「ハロー大統領」という番組が使われました。

英国のマスコミが、選出された政府の打倒を公然と求めた場合、どうなるでしょうか。
このことについてBBCからの言及はありません。

第二の干渉は「社会的使命」計画の資金を供給するために石油収入を使うことへの非難です。

チャベスはそれを決めました。

社会計画のための伝統的な方法では資金調達はあまりに遅く、あまりに官僚的でした。
そこでかれは国家構造をバイパスしたのです。

社会主義の方向に社会を動かすために、資本主義国家を使うことにはさまざまな困難がつきまといます。
とりわけベネズエラのように国家機構が寡占層の執行部として、寡占層のためにだけ機能してきた国ではそうです。

既存の組織ではほとんど対応できないのです。

第三の問題が、貧しい人々を政治に参加させたことへの非難です。

しかし番組の最後にコメンテーターの一人がこう告白しました。

  「貧しい人々は、これから先もずっと、ベネズエラの政治対話の一翼となるだろう」

何百万もの普通のベネズエラ人が政治生活に目覚めました。これがチャベスとベネズエラ革命の永続的な遺産です。



題名に惹かれて訳したが、あまり水準の高いレポートではない。おそらくトロツキスト系青年のなぐり書きであろう。
“それはBBCが沈んだ闇の深さを示しています”というのがかっこいいが、なぜBBCがその闇に突っ込んだかについては言及されていない。

もう少し探してみる。