土曜の朝のテレビの目玉は衛星第一の、ニューヨークだよりである。
日本語の堪能な青年がニューヨーク現地のトピックを伝えてくれる。その独特の切り口、語り口が面白く、毎回愛聴している。
それが23日の朝は「始まった大統領選挙」ということで、ニューヨークの市民の声を拾っていた。画面に流したのは左派、右派、中間派と一通り並べた無難なものだったが、その後にレポーターがとんでもないことを言ってしまった。
「いろいろ意見はあったが、驚いたことに、8割以上が“民主主義的社会主義”を支持していた」と発言してしまったのだ。日本のスタジオでこの発言を受けた二人の女性キャスターはあせった。
「その感想がたまたまの偶然であったのだろう」ということをレポーターに念押しした。向こうも雰囲気を察したらしく、その後は言葉を濁し次の話題に移っていった。

ニューヨークでは先日の下院選挙で27歳の“オネェちゃん候補”オカシオ・コルテスがぶっちぎりの勝利を上げたが、その目玉は皆保険制度と奨学金だった。
この2つでの国民の要求は強烈なものがある。共和党はこれを社会主義の脅威だと攻撃している。民主党の主流派もイマイチ煮え切らない。
そこで多くの市民が「社会主義でもいいんじゃないの」と感じ始めている。
そのことは私も度々指摘してきたが、この度の発言で、その浸透ぶりが想像以上のものだということがわかった。

とりあえずの最大の話題は、「民主的社会主義」の言い出しっぺ、サンダースが大統領候補になれるかどうかということだが、なかなか道程は遠いだろうし、反共攻撃も激化してくるだろう。とくに中西部でトランプに流れた「不安な労働者」層を以下に奪回できるかどうかが鍵になるだろうと思う。今後とも注目していきたい。