1月20日、オックスファムが定例となった世界での不平等の実態に関する年間報告「公共の利益か、個人の富か?」を発表した。

(Ⅰ) 骨子は以下の通り。

1.26人の大富豪が世界の貧困層38億人分の富を所有している。17年の時点では43人だった。

2.貧困層の資産は1年で11%も縮小した。大富豪の資産は12%も拡大。1日に25億ドルずつ増えている。

3.08年の経済危機以来、大富豪の数が倍増した。近年における彼らの納税額は最低額である。

*「大富豪」は資産10億ドル以上のビリオネアを指す。
*「貧困層」は中央値以下のボトム・ハーフ(貧しい半数)を指す。

(Ⅱ) 格差の年次推移

格差が過去10年間でどう変化しているかを示したのが次の図である。

図 大富豪の数

大富豪の数
リーマン・ショック後の一時的な収入低下は、早くも1年後に底を打つ。その後は一本調子に懐ろが膨らんでくる。
ビリオネアの数は10年間で2.8倍に、その総資産は3.2倍に増えている。平均年率で30%だ。これは少なく見積もってGDP成長率の10倍に相当する。このような寄生虫に取り憑かれたら一刻も早く駆除しなければ、確実に宿主は死亡する。

(Ⅲ) 格差の理由: オックスファムのコメント

以下のような要因の複合によると考える。

1.「情報通信技術」(ICT)による生産手段の寡占

2.「企業買収」による資本の集中

3.グローバル企業による悪質な租税回避

4.法人税の過剰な引き下げと「底辺への競争」

5.医療や教育予算の削減

6.富裕層への優遇税制

* 世界経済フォーラムの推計では、世界中で生産プロセスがAI制御されると,今後10年間で100兆ドルの経済価値が生まれる。
* 米国の労働生産性は、2000年を挟む10年間の好況期で2.3%伸びた。しかし下位90%層の所得成長率はマイナス0.2%だった。

私の感想として、これらの「格差の背景」は、民主主義だけでは片付かないものがふくまれている。「民主主義的な社会主義」が必要だ。それとともに国連中心主義を軸とした多国間主義も必要。