グローガー理恵 「黄色いベスト(gilets jaunes)運動」 
田中 理 (東洋経済ONLINE) フランスのデモがマクロンを標的にするわけ
などから作成しました。

5月 ガソリン・軽油などの燃料税(炭素税または環境税とも呼ばれる)引き上げに反対する運動がインターネットを通じて呼びかけられる。
環境税はマクロン政権の売り物の一つで、ディーゼルからエコ・カーへのシフトを目指すものであったが、その負担が庶民に皺寄せされることに反感が広がった。反緊縮闘争の生贄になった側面もある

9月 フィリップ首相、来年1月から燃料税を上げると正式発表。

11月はじめ 燃料税引き上げ反対のネット署名が86万筆に達する。ネット上の呼びかけで、黄色ベストを着用し、「すべての道路をブロックする」イベントが提起される。

蛍光の黄色ベストは、車の中に装備することが義務付けられている。車が故障して外に出るとき着用する。(今井佐緒里)

11月17日にフランス全土で行われた最初のデモには全国で24万4000人 (警察調べ) が黄色べストを着て参加した。
11月17日フランス東部ヴズール

一部はバリケードを建設し道路を閉鎖した。10か所の燃料貯蔵所が実力封鎖された。これらの抗議活動に伴い1人が死亡、400人以上が負傷した。

11月19日 フィリップ首相、租税引き上げ政策の変更はないと表明。

11月24日 二回目の抗議行動。全土で10万人が参加。パリでは行動が激化。標識を破壊し、バリケードを建て、石畳を引きはがした。警察は、催涙ガスと高圧放水砲を使って参加者を蹴散らした。

11月26日 2日間に渡るパリ暴動で最大150万ユーロの損害。

11月27日 マクロン大統領、「暴徒には屈しない」「政策に変更はない」と発言。運動スローガンは、「マクロン終了」に変わる。

11月27日 BFMTVの世論調査が実施される。72%が「黄色いベスト」を支持し、85%がパリでの暴力に反対している。(発表は12月1日)

12月1日 シャンゼリゼの暴動。「グループスキュル」と呼ばれる過激派による組織的破壊。(今井さん)

12月5日 フィリップ首相、燃料税引き上げを延期すると発表

12月8日 4週目の抗議行動。ルーヴル美術館、エッフェル塔、パリオペラ座も閉鎖され、多くの店が襲撃を予想して、店に板を打ち付ける。

12月10日 マクロン大統領がテレビ演説。①最低賃金を1ヶ月あたり100ユーロ増額する。②残業手当を非課税にする。③低年金所得者対象に予定されていた増税を撤回する。廃止した富裕税を復活させることは拒む。

12月11日 ストラスブール銃乱射事件。イスラム過激派の無差別銃撃で5人が死亡、11人が負傷する。犯人は2日後に射殺される。

12月15日 政府は抗議者に街路から離れるように要請。フランス全土でおよそ6万6000人が抗議デモに参加。パリでは2,200人にとどまる。

12月22日 フランス全土で38,600人がデモに参加し、そのうち2,000人はパリで行進した。

運動の特徴

①リーダーは存在しない。②労働組合や政党とのつながりもない。③ほとんどが中産階級のひとで仕事を持っている。④問題は人種や移民ではなくナショナリズムでもない。

多くの人が「低所得のために毎月の生計が立たない」ことを悩んでいる。
多くの人が『不信を煽って国民をポピュリズムに押しやる、よそよそしいポリティカル・エリートの象徴』と見ている。

国民はどう見ているか

燃料増税反対で始まった草の根運動は反マクロン運動へと変化している。

最近の世論調査で、マクロンの支持率は23%まで低下した。また72%が(暴力なしの)黄色いベスト運動を支持している。