イギリス人はDNA的にはアングロサクソンではない。ケルト人でもない。

ブリテン島に住む「ケルト人」は大陸にいたケルト人ではないという話は、前にした。
話をややこしくしたのは一部の考古学者なのだが、彼らが「イギリスの先住民族はフランスから来たケルト人だ」という話を撒き散らしたために、それが定説になってしまっていた。
じつは「イギリスのケルト人」の祖先は、イベリア半島北部から海を渡ってきた人々、早い話が「ニセ・ケルト人」なのだ。

それを承知の上で話をわかりやすくするのに、彼らをケルト人と呼ぶことにする。

問題はそんなところではなく、ケルマンやバイキングやノルマン人の血がどのくらい混じっているかということになる。

これも結構、結論は出ていて、イングランド人はアングロサクソンでもデーンでもなくノルマンでもなく、ケルト人なのだ。
ウェールズ・スコットランド・アイルランド人に対して上から目線で「俺たちはアングロ・サクソンだ。アーサー王の末裔だ」と威張ってきたが、何のことはない同じ「ニセ・ケルト」だ。
しかもローマ人にケツを振り、ゲルマンにこびを売り、デーン人やノルマン人につきしたがった「転びケルト」だ。




唐澤一友さんのページにオクスフォード大学の遺伝学研究のデータ(2006)が紹介されている。

イングランドを含め、イギリス諸島の全域において、アングロ・サクソン、ヴァイキング、ノルマン人などの系統は少数派であり、大多数は先住民族の系統である。

母系のDNAは、ほとんどが先住民族の系統である。
父系のDNAは、ある程度ゲルマン系の割合が高いが、やはり先住民族系が圧倒的である。

ストーンヘンジなどの遺跡を遺したブリテン島の先住民族は、イベリア半島北岸やブルターニュ半島付近からやって来た。彼らはケルト人ではない。

彼らは後にケルト人の影響を強く受けるようになったとされる。しかしゲノム上は、「ケルト人」が大陸から大規模に入った痕跡は全くない。

ということで、最新研究においても依然として「ケルト人」問題はニヤッとしているが、原理的にはブリテン人の万世一系ということでめでたしめでたしだ。

2013年に大規模なゲノム研究が行われ、興味深い知見が出ているようだ。いくつかのブログで訳されているが、正直どうも心もとない。
よく調べると、この研究はハーバードの研究でBBCが大々的に取り上げているようだが、かなりガセネタっぽい。BBCも落ちたものだ。

2014年01月22日 ケルト人について