国際銀行間通信協会 「SWIFT」(Society for the Worldwide Interbank Financial Telecommunication)
はこの間のハッカーの主要な攻撃対象となっている。

SWIFTの問題点と今後

一番問題なのは、SWIFT自身がハッキングを抑える手段はないと言っていることだ。これは民間の協同組合みたいなものだから強制力は持てない。
もう一つの問題は、信用状をやり取りして然る後に、人手を介した銀行業務を開始するというシステムの問題がある。本質的に偽メッセージが潜り込む危険性を秘めているシステムだ。「支払いのメッセージング」と「決済完了」の間にタイムラグが生じることも深刻な問題だ。
第三に、そもそもこのようなきわめてアナログ的な業務スタイルが、はたして今日の世界においていかがなものかという素朴な疑問がある。
ただこれらの問題が解決され、システム的に洗練された場合は、一種の「国際商業決済銀行」として巨大な力を発揮する可能性もある。それは国際決済銀行(BIS 中銀のみ)もIMF(各国通貨の監視)も果たしえない機能だ。
さまざまな問題にもかかわらず、現に世界の200以上の国で、1万以上の金融機関が加入しているのはその反映なのだろう。
ここに国際的な基金をプールして、その資金を運用することになればアメリカの最大の武器であるドル決済体制を揺るがすことになる可能性もある。だから米NSAがSWIFTの金融取引への監視を強めているのだろう。

この間の経過

1973年 国際銀行間通信協会 「SWIFT」が発足。当初は通信ネットワークサービスを運営するための国際協同組織。ベルギーに本部を置く。15ヶ国の239銀行が参加。

1977年5月 サービスの運用が開始される。金融機関同士のネット通信。暗号化と端末の差別化により守秘性を向上。

1986年 付加価値サービスとして国際決済銀行と提携し欧州通貨単位の決済を手がける

2004年 スイフトネットへの移行を完了。202の国と地域の7800を超える金融機関が接続。

2006年6月23日 ニューヨーク・タイムズ、スイフトのクラウド情報が、中央情報局などにより利用されていたと報道。セキュリティの脆弱性が暴露される。

2013年9月 スノーデンの内部告発。米NSAがSWIFTの金融取引を監視。広範囲の銀行取引とクレジットカード決済をモニターしていることが暴露される。

2015年1月12日 サンフランシスコのウェルズ・ファーゴ銀行、「BDAからの送金依頼」に応じ、1200万ドル(約13.4億円)を送金。この事件は1年以上秘匿される。

2016年
2月5日 バングラデシュ中央銀行で約8100万ドル(約90億円)の不正送金事件が発覚。「銀行を襲った史上最大級の盗難の事例」となる。
ハッカーはニューヨーク連邦準備銀行内のバングラ銀行口座にアクセスし、不正送金させた。犯人が些細なミス(誤字)をしていなければ、約9億5000ドル(約1000億円)に達していたと推測されている。

4月 SWIFTはシステムの包括的なセキュリティ強化を行う。加入者にもソフトウェアのアップデートを促す。

5月 ニューヨーク・タイムズ、「SWIFTに関連した第二のサイバー攻撃」を報道。SWIFTはこれを否定せず。

5月15日 ベトナムの銀行でハッカー攻撃が起きたと報道される。送金は未然に防がれたとされる。NYT報道と同一ケースか。

5月後半 エクアドルの銀行から4つの銀行に約1200万ドルが不正送金されたことが発覚。その後もフィリピン、ウクライナ銀行で不正送金が次々に発覚する。

2017年

11月4日 ネパールの銀行、6ヵ国へ約4億6000万ルピー(約5億円)を不正送金。SWIFTを利用したハッキングとされる。早期発見で4億の回収に成功。

2018年

2月 インドシティユニオン銀行、2億円超のSWIFTハッキングによる流出。

2月16日 ロシア中銀、SWIFTを使って約600万ドルが不正送金されたと発表。事件が起きたのは昨年であり、詳細は発表できないとする。

10月 FireEye(米セキュリティ企業)、北朝鮮のハッカー集団「APT38」が、サイバー攻撃で1億ドルを不正に取得したと発表。これによると4年間で11カ国、16以上の金融機関を攻撃したとされる。

11月5日 SWIFTが国際送金網から、イランの複数銀行を除外する措置。トランプによる追加経済制裁を受けてのもの。イランの銀行は国際間送金ができなくなる。通貨の代替案として自国中銀発行の仮想通貨が注目を集める。

追加: SWIFTはトランプのイラン追加制裁を受けて、国際送金網からイランの銀行を排除した。とんだ腰抜けだ。CIAやNSAにいくら盗聴されてもなんにも言えない。このようなへなちょこに世界経済の将来は到底託せない。こうなれば最後はビットコインだろうか。