“For the many, not the few” (一握りでなく、多数のために)
労働党「社会主義者」グループの宣言

2017年6月、イギリス労働党はコービン党首の下、奇跡的な躍進を遂げた。
その後も躍進は止まらない。
17年末現在で党員数が56万4000人を突破。ブレア時代の3倍となった。新たな党員のほとんどが若者で、労働組合と関係ない市民たちだ。

コービン派「モーメンタム」は、新しい社会主義を旗印に掲げている。それはブレア時代の「物分りの良い社会主義」ではなく、公共セクターの社会化を正面から取り上げている。

9月に開かれた労働党大会。コービンの演説を柱にモーメンタムの主張を紹介しておく。


1.保守党政治は何をもたらしたか

保守党政治は緊縮政治により国民を苦しめ、社会に分裂をもたらし、国際紛争に巻き込んだ。いまこそ労働党政権を実現し国家を再建しなければならない。

2.公共事業の民営化路線が破綻

保守党は公共の事業を民営化し、外注化してきた。これが失敗し危機的状況となっている。地方自治体の公共サービスは削減された。
12万人の子どもたちに家がない。保守党政治の8年間で路上生活者は2倍になった。
国民保健サービス(NHS)は劣化した。無料・低額の保育所が減らされ、高齢者年金が切り下げられようとしている。これらの維持が必要だ。

3.欧州金融危機とイギリス

10年前、リーマンショックがヨーロッパに波及し深刻な金融危機をもたらした。この中でサッチャーにより規制緩和された金融資本主義は崩壊した。それはイギリスに破滅的影響を与えた。
銀行資金の95%が投機目的で運用され、金融システムは公共性を失っている。

4.金融資本の救済は正しかったのか

保守党政権はこの破滅した金融資本主義を救済することを優先した。その結果、深刻な景気後退と史上最長期間にわたる賃金の低下が発生した。
一方で金融セクターは危機前よりも強固になり、公的資金で守られている。彼らは相変わらず、国民と実体経済ではなく、多国籍企業と金融セクターのために働いている。

5.人種主義と排外主義

不景気と低賃金は国民の怒りをもたらした。行き場のない憤りは、人種主義と排外主義の温床となった。

6.いわゆる「再国有化」について

これらの危機から脱するには公共の事業における「新しい形の所有形態」を探求しなければならない。水道、エネルギー、郵便、鉄道の大切な産業の公的なコントロールを取り戻す必要がある。
「透明な水」(水道公営化)政策はこの流れに沿ったものだ。

7.トランプ政権の評価

トランプ政権はパリ協定やイラン核合意から離脱し、エルサレムへの米大使館移転を強行した。さらに経済ナショナリズムを推進し貿易戦争を仕掛けている。これらは国際協力に背を向け、国際法を無視する行為である。

8.中東問題の平和解決を

中東における緊張がさらに高まっている。労働党は対立より交渉、脅迫より外交を優先させる。かつてイラクやリビアに対して行ったような干渉戦争は行わない。
労働党が政権を獲得すれば、すぐにパレスチナ国家を承認する。

9.メイ政権主導のブレグジットに反対

保守党はブレグジットを通じて規制をいっそう緩和し、金融資本主義を強化しようと目論んでいる。これは国民にさらなる痛みを押し付けるものであり反対する。
労働党は第2回目の国民投票をふくめすべての選択肢を念頭に置く

10.さいごに

国民は従来のやり方がもはや機能しなくなっていることを知っている。私は、皆の医療、教育、住宅にきちんとお金が使われる社会に住みたい。

労働党が革命的な解決策を提案しない限り、新しいマジョリティが形成されない限り、誰かが非難の言葉で分断の政治を操り、その空隙を埋めることになる。

だから労働党の提案が『時代の空気』をつかんだのだ。
だからこそ昨年の総選挙で労働党の得票増加は戦後最大となったのだ。