ベネズエラが米国の中間選挙をどう見ているか。それを示す解説記事だ。著者はベネズエラ問題を専門とするジャーナリストという肩書きになっているが、ベネズエラ政府筋の人と見て間違いないだろう。

トランプの中南米いじめは中間選挙の政治戦術だ
by Paul Dobson  
Nov 4th 2018  venezuelanalysis  

1.ボルトンのマイアミでの発言
ジョン・ボルトン米国務次官補は、最近、キューバ、ニカラグア、ベネズエラに対する新たな制裁に関する発表を行った。
これは彼らを米国の敵国として描き出す試みに過ぎない
ボルトン氏は、マイケル・デイド・カレッジのフリーダム・タワーで語った。「ベネズエラ、キューバ、ニカラグアに対し、新たな制裁措置を開始する」と発表した。
そこには米国市民がベネズエラの地金との取引に参加することの禁止を含む。
ボルトンはマイアミの聴衆に語った。
ハバナからカラカス、マナグアに至るこの“暴虐の三角”は、人間の深刻な苦しみの原因であり、地域に巨大な不安定さを引き起こす原動力であり、西半球の共産主義の醜悪な発祥地である。
米国は、トランプ大統領のもとで、3つの政権に対して直接行動を起こしている。それは地域の公正、自由、基本的な人間の尊厳を守るためだ.
ボルトン議長の発言は、米国の中間選挙に向けての共和党の支援キャンペーンで、アメリカ人に恐怖を植え付けようとする“トランプ節”Trumpesqueのひとつである。

2.“暴虐の三角”
ボルトンが使用しているレトリックは、中間選挙の文脈で見ていかなければならない。
ボルトンはアメリカの人々に恐怖を抱かせるために“外部の敵”を描こうとしている。そのために“暴虐の三角”などのフレーズを使っている。
キューバに関する米国の政策は、これまで行われてきた金融制裁の継続に加え、ハバナの米国大使館からの外交官の撤去に焦点を当てている。米国がニカラグアにどのような計画を持っているかは今のところ不明だ。
ボルトン議長は30分間の演説でこう述べた。
ベネズエラが何百人もの政治犯を解放し、自由な選挙を認めない限り、米国は「腐敗したベネズエラ経済を支配するネットワークをターゲットにし、彼らが奪った富へのアクセスを拒否する。
3.米国のベネズエラ制裁は手詰まりになっている
ベネズエラに対する最近の動きは、具体的にはニコラ・マドゥロ大統領に対する動きである。それは9月に中米国家に課されたトランプ政権の制裁措置への追加措置である。
しかしそれはボルトンが信じるほど厳しいものではないし、ベネズエラ社会に大きな影響を与えるものでもない。
それは何らかの厳しい新制裁といったものではない。
もし厳しい新制裁というなら、それは石油禁輸措置とか旅行制限などになるはずだ。しかしそれらは明らかにされていない。
なぜか。それはアメリカの支配階級やビジネス界に本格的な石油輸出禁止令を受け入れる準備ができていないからだ。
アメリカ経済は依然として石油を始めとするベネズエラの産品に大きく依存している。
ボルトンが使用している言葉を見ると、制裁自体の実際の内容よりも、選挙運動で有権者に訴えようとしているようだ。

4.移民キャラバンをどう見るか
話は変わるが、貧困と暴力から逃れようとする移民キャラバンの問題がある。トランプ大統領は彼らを「侵略者」と呼んでいる。
このキャラバンはホンジュラスから米国とメキシコの国境へと移動している。留意すべきは、これらの大半は米国がこの地域に繰り返し介入した結果もたらされたことである。
木曜日にトランプは語った。
私たちは亡命制度の誤った乱用を終わらせる。そのための計画を確定する。
そして、移民キャラバンのメンバーによる暴力行為は軍事的に対応すると誓った。すなわち石が投げられれば銃で応えるということだ。
ボルトンの発言は、フロリダ州の選挙戦「戦場」でのものであり、トランプの反移民の立場に沿ったものだだということに留意する必要がある。
それは、すでにアメリカに拠点を置く移民に対して、さらなる人種的憎悪を煽る手段として働いている。

5.ラテンアメリカの民衆に対する“人種的憎しみ”
ホンジュラスの移民行進と、ニカラグア・ベネズエラ・キューバについての声明の間にははっきりとしたつながりがある。それは“人種的憎しみ”というつながりである。
これらの声明はボルトンとトランプがゲームを再評価し、新たな攻め口を準備していることを示唆する。
それは3つの政府、とりわけベネズエラを、病気や失業や医薬品の不足や、その他もろもろの口実で攻め立てようとするものだ。
そのことは、この間の選挙キャンペーンを通じて、明白な政治戦術として浮かび上がっている。