10月14日、バイエルン州議会選挙が行われた。
この選挙ではキリスト教社会同盟(CSU)が歴史的大敗を喫した。前回47.7%から37.2%に急落。難民を嫌うCSUの支持層がAfDに流れた。
CSUは難民への強硬姿勢を強調したが、逆に穏健派支持層の離反と緑の党の躍進(前回の2倍以上)を招いた。CSUはもはやシュトラウスの時代のCSUではない。CDUのバイエルン支部でしかないのだ。非CDU色を打ち出したことでそのことを思い知らされることになった。
緑の党は気候変動対策、男女平等、国境管理の削減などを訴えた。要するに、何も言わないことで躍進した。しかしそれとともに本来の存在意義は失われた。
社民党の得票率も9.7%と前回から半減した。
AfDは10.2%となり、初めて議席を獲得した。

続いて10月29日 、ヘッセン州の議会選挙があった。ヘッセン州は金融街として有名なフランクフルトなど大都市を抱える産業州である。ここでもキリスト教民主同盟(CDU)と、連立与党の社会民主党(SPD)が共に大敗した。
SPDは、ヘッセン州の得票率が第2次世界大戦後最悪となったことを受け、連立離脱の可能性をほのめかした。その結果はさらに惨めなものになった。
得票率
    2018年 2013年  変化
CDU 27.2% 38.3% -11.1%
SPD 19.8% 30.7% -10.9%
緑の党 19.6% 11.1% + 8.5%
AfD 13.2% 4.1% + 9.1%
FDP 7.7% 5.0% + 2.7%
左派党 6.1% 5.2% + 0.9%
AfDは、今回の結果を受けて16州すべての議会でも議席を確保した。


選挙の結果を受けてメルケルはCDU党首を辞任すると発表した。首相職は任期いっぱい続けるとしている。
それでメルケル時代は終わるのだろうか。
大方の予想はそうなっている。しかし私にはそう思えないのである。

メルケルのやったのはものすごいことであった。その難民100万人受け入れはすさまじい決断だ。彼女以外の誰にもできなかったろう。
これだけのことをすれば社会の混乱は必至だし、みずからの身にも火の粉が降りかかる。それを百も承知で、やったのだろう。
事実そのとおりになった。しかし彼女の読みでは、バイエルン、ヘッセンでそろそろ出尽くす可能性もあると見ているのではないか。そうすれば中道回帰の可能性は充分ある。メルケルに目立った失政はないこと、メルケルなしにEUの統合が持続できるかという不安がある。
とくに左側にその不安が強い。緑の党に行った人々は雨宿りして、雨が上がればまた戻るのではないか。
右はイギリスのブレグジット派と同じで、どうせいずれはしぼんでいくだろう。
そうなった後、左翼に誰が残るのか。社会民主党か、緑の党か、それとも左翼党かということになる。