実はドイツ左翼党の政策等はなかなかネットでは利用できません。
とりあえず多少お役に立つかと思い、我々が党本部を訪問したときの担当者のブリーフィングを紹介します。
wegner
    左翼党国際政策部のWegnerさんがレクチャーしてくれました
なにぶんにも、パワーポイントからの写しですので不十分とは思いますが、何かの参考になればと思います。

戦前のドイツ共産党(DKP)からの伝統

みなさんがお出でいただいたこの会館は「カール・リープクネヒトの家」といいます。スパルタクスの反乱で殺された党の指導者カール・リープクネヒトの名をとったものです。戦前からありますが1933年にナチスが政権をとった後、襲撃を受け奪取されました。
これはその前の建物の写真です。
DKP
   SEPTEMBER 14, 1930. PHOTO COURTESY OF THE BUNDESARCHIV

ベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツが合併した時から、この建物は民主社会主義党(PDS)の所有物となりました。

PDSから左翼党へ
その後、PDSは左翼党PDSと名を変え、2007年にはWASGと合併し左翼党となりましたが、その左翼党のセンターとなっています。

党の影響力の指標として連邦議会選挙での得票率を見ていきます。連邦議会選挙はオリンピックと同じように4年に1回行われ、これまで任期途中での解散はありません。

まずPDS時代ですが、
1990年 2.4%
1994年 4.4%
1998年 5.1%
2002年 4.0%
となっています。ドイツでは5%未満の得票率では議席が与えられないので、2002年には議席を失っています。

このときに私達は大変な危機感を持ちました。このままではドイツの左翼の声を代表する組織はなくなってしまう。
なんとかして西側の組織と連合して5%条項をクリアしなくてはならない。

そこで2005年の連邦議会選挙では、旧西独で作られたWASGと連合することにしたのです。もしこの連合が成立できなかったら、そのまま消えていたかもしれません。

お互いにとって大変難しい選択でした。しかしPDSは大胆に妥協し、WASGはそれを信頼しました。もしそうしなければWASGもそのまま消えていたかもしれません。

こうしてPDSとWASGが選挙協力した最初の連邦議会選挙が闘われました。その選挙ではなんと2倍以上の得票を獲得することができました。

1+1が2ではなく3にも4にもなることが証明されたのです。

それはもはや後戻りすることができないコースでした。この選挙の後、2つの党は単一の党への移行を決定します。これが左翼党、略称リンケです。

先程の表の続きになります。
2005年 8.7%
2009年 11.9%
2013年 8.6%
2017年 9.2%
と、しっかりした基盤をドイツ全土に確立していくことになります。

政党連合から統一政党へ

この中で2013年に一旦得票率を減らしているのがわかります。これは主として旧WASG側の事情によるものです。

WASGはもともと社会民主党の左派が別れて作った組織なので、さまざまな思想潮流がふくまれていました。なかには、旧PDSに対する不信感をあからさまに吹聴しながら、票だけはいただこうというずるい人もいました。
そういう人たちが、さまざまな党内セクトを作って主導権争いをしたのです。

それが世間の不信を買って党勢が後退した時、旧PDSの人は厳しく批判しました。その後、さまざまな意見がかわされても、行動は一致させていこうという動きが強まり、分裂は実践的に克服されつつあります。

リンケ、活動と組織の現況

リンケは62,300人の党員を擁しています。これは昨年12月現在のものです。
これらの党員を組織するために16の州委員会と344の地方委員会が活動しています。
その下に地区委員会と草の根組織が活動しています。
これが基礎組織ですが、この他に青年組織と学生同盟があります。青年同盟には1万人が加盟し、学生同盟は51の大学に組織されています。
左翼党と連携する組織は24団体あります。教育、環境、反ファシズム、地方政治、貧困者、老人、平和運動などです。

党は意識的に女性を重用しています。議員の男女比は欧州議会、連邦議会、州議会のいずれにおいても女性が上回っています。

議員の内訳

欧州議会には欧州左翼という党派があります。これは2004年にローマで結成されたもので、最初は15の政党で構成されていました。
現在では欧州左翼はオブザーバーをふくめて39の政党を結集しています。議員団長はドイツ左翼党のグレゴール・ギジが務めています

左翼党の政策

左翼党の政策の基礎は「社会的正義」の実現にあります。
社会経済的要求としては
最低賃金を12ユーロに
課税最低限制度の導入
連帯を基礎とする国民皆保険制度。
最低年金を1050ユーロに、退職年齢67歳の撤回
万人に対する教育機会の均等。幼稚園から大学まですべての学費の無料化。
高度累進課税と高所得者に対する資産税の導入
などを主要政策として掲げています。
平和については次の要求を掲げています。
すべての紛争の軍事的解決反対。
全欧州レベルでの武器輸出の禁止
核兵器廃絶
生物化学兵器の廃棄
民主主義と公民権に関する要求としては
差別のない寛容な社会
全国レベルでの国民投票権
16歳以上に投票権を
国民監視の制限
公的機関の情報へのアクセス権
顧客保護情報への自由なアクセス
難民問題への基本的態度
難民を歓迎する。
人種主義に反対する。
具体的な政策も書かれているが、かなり難解で専門的なため省略します。

以下は追加情報です。

2017年の連邦議会選挙は、メルケル首相による難民受け入れの決定をめぐり、その是非が問われた。

CDU・CSUは、得票率を8.6%減らしたが、32.9%と第一党を維持した。
SPDは、戦後最低の20.5%となり、5.2%減らした。
AfDが、前回より7.9%増やし12.6%を獲得した。初めて5%条項を上回り、一挙に第三党になった。
緑の党・左翼党は第三党になれなかったが、得票を微増させ健闘した。ただし旧東独部を中心に40万票程度が左翼党からAfDに流れたとみられる。

AfDは、「ドイツのための勇気」をスローガンとし、移民規制と厳密な国境管理を訴えた。またEU離脱を念頭にドイツマルクの再導入を主張した。
難民への反感が噴出したことを契機とするイシュー政党と見られる。

その後もCDUとSPDの退潮は続き、今年8月の世論調査で、CDUはついに3割を割った。SPDは18%、AfDは17%で第2党に迫る勢いである。ついで緑の党15%、左翼党は9%の順となる。