米国・欧州における進歩派の前進 その2 ヨーロッパ

A) イギリス 「コービン現象」の現在
ブレグジット(EU離脱:ブリテン+エグジット)の着地点は見えない。なぜならそれは英国政治の真の焦点ではないからだ。
問題は長い間に蓄積されてきた社会的危機と、それを進めてきた保守党の政治に対する民衆の拒絶感である。ブレグジットはそれを逸らすための偽りの争点だ。

8年間の保守党政治のもたらしたもの
医療サービス(NHS)や各種行政サービスの切り詰め。公務部門労働者への厳しい賃金抑制。
これらが経済成長を急落へと押しやり、税収を急速に低落させる悪循環を招いた。

これらはミレニアル世代で特に深刻だ。公的住宅が不足し住居費は収入の50%に及んでいる。賃金と労働条件は低劣で、しかもそれらについての保証もない。
交通費、光熱費、娯楽費も高い。その結果多くの若者がローン漬け、カード漬けになっている。

社会的不公平の象徴となったのが、17年7月のグレンフェルタワー火災だ。この火災で70人以上が犠牲となったがその多くは低賃金の移民労働者だった。燃え上がる新建材の炎は、この国の貧困者への態度をあからさまに示すものだった。
musurimタワー住人
        住民の多くはムスリムだった

民衆の心をつかんだ生活改善の訴え
保守党政権はNHSの設備を売り払い、民営化を推進している。
NHSの民営化をやめる。保守党のやりかたにノーといおう。必要に応じて税金を適切に支出する。

政府のケチで、多くの命が犠牲になり、健康の不平等が拡大している。
富裕層が貧困層より26年も長生きしてるなんて受け入れられないよ。
我々は皆の医療、教育、住宅にきちんとお金が使われる社会に住みたい。
英国では123,000人の子供たちに家がない。保守党政権になって路上生活者が2倍以上になった。
10万戸の公的住宅を建設しよう、誰もが自分の住まいを持てるようにしよう。
最低賃金£10を実現する。従業員を正規の労働契約にする。
コービン演説
    ロイターより

17年6月選挙とその後の動き
保守党強化の予想は覆された。自由民主党は議席を激減させ、極右の英国独立党は唯一の議席を失った。
若者たちは、労働党史上もっとも左派の指導者、ジェレミー・コービンの下に結集した。23歳以下の青年の3分の2が労働党に投票した。
労働党の党員数は、ブレア時代の12万から60万以上に跳ね上がり、西欧最大の政党となった。
コービン派の中核組織「モメンタム」グループの組織員も10万を越える。
一方、保守・右翼の反撃も強まりつつある。
ロイター通信は論説で、右のトランプ、極左のコービンを2つの「おろか者政治」(ポピュリズム)と呼びその危険性を訴えてる。

今後、ブレグジットが暗礁に乗り上げた時どうするか。コービンは今年2月「EU離脱・関税同盟維持」の方針を出した。事実上は残留に近い。これで合意が形成されれば、保守党政権は吹っ飛ぶ。その先に「皆の医療、教育、住宅にきちんとお金が使われる社会」というもう一つの社会が作られる展望が開けている。

B) ドイツ左翼党の前進
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