新藤さんから「キューバ憲法改正の問題点」というレポートを送ってもらった。
新藤さんのホームページでも原文が読めると思うので、興味のある方はそちらに回っていただきたい。

概要を書いておくと、
① 2018年7月に国会が開催され、現行憲法の改正案が出された。現在各種・各級で審議中である。
② 現在の経済モデルは、過剰な中央集権化と、「マクロ経済にかかわる構造的諸問題」を引き起こしている。
③ 経済の4つの中心要素: 社会主義的所有、計画経済、限定的な市場、非国家所有(私有)
④ 「共産主義」の憲法からの削除
⑤ 首相(閣僚評議会議長)の復活。以前はドルティコス大統領・カストロ首相であった。

このうち、私にとって興味深いのは、「共産主義の削除」ということだろう。
それは共産主義をイデオロギーとして捉え、社会主義をシステムとして捉えるという使い分けなのだろうと思う。
つまり社会主義には共産主義・マルクス主義に基づく社会主義もあるし、そうでない社会民主主義的な社会主義もある。
いろんな社会主義があって良いという相対化がそこにはある。
それとともに、社会主義は人類史の進歩の流れを代表する未来志向型システム・モデルなのだという確信とが並列されている。
さらに言えば、社会主義を空想的社会主義と科学的社会主義に分けるような喋り方はもうやめようということにもなる(心の中でそう思っても構わないが)。サンダースの社会主義も立派な社会主義だ。「人間の顔をした社会主義」も、あり得べき社会主義の一形態だ。(ただし、我々はスターリニズムもファシズムも社会主義の仮面をかぶっていたことを忘れてはならない)
社会主義に関するキューバのモデルは、今のところ「経済の4つの中心要素」に示されたやや古めかしいものだ。もちろんこのように4つの要素に分析したということは、それぞれについて批判的検討を加えていくという姿勢の表れでもあるので、今後キューバの「社会主義」イメージは変わっていく可能性が大いにある。

一時、「共産主義と社会主義は同じだ」と言われたこともあったが、それに対するさまざまな言及の中で、使い分けがなされるようになっているようだ。
マルクスはサン・シモンの系列を引くプルードンの社会主義に対して、「それではだめだ、どう資本主義を否定し、どう次の社会を実現するのか、それが問題だ」と主張し共産主義を訴えた。
聽濤さんが示唆するように、マルクスの心の中で、共産主義は「宣言」なのだ。キューバの憲法改正はそれを示しているのではないだろうか。