その時何が起きたのか
いまだよくわからないところがある。報道記事だけが頼りなので、情報が錯綜しているところもある。どこがよくわからないのかは記事の中で明らかにしていく。

6日午前3時8分

地震発生。震度7という北海道ではじめての強度の地震が厚真発電所の真下で起こった。1分後に2号機、4号機(出力計130万キロワット)が緊急停止した。

午前3時25分
2号機、4号機が停止した後も稼働していた1号機(35万キロワット)が止まった。

このとき厚真火発の他に奈井江、知内、伊達の3火発が稼働していた(ともに2基中1基)。これら3基は急激な出力変化に耐えられず、自動停止した。これにより北海道内で稼働中のすべての発電機が停止し、ブラックアウト状態となった。

北電は、一部地区への電力供給を強制的に止めて需要を抑える「負荷遮断」を複数回実施した。しかし結局ブラックアウトに陥った。

ここで一休みして説明に入る。
厚真火発(輸入炭専焼)は道内需要量310万キロワットの半分以上の165万キロワットを供給するスーパー火発、言い換えればそれ自体が一極集中のヤバイ存在である。

ただし厚真だけが発電所ではない。以下世に倦む日日  ブラックアウトの謎より引用する。
北電の持つ水力発電所の設備は強大で、主な発電所だけで12ヵ所あり、その発電能力は全体で165万kWに達する。
北電管内の太陽光発電による発電量は132万kW、風力の発電量は38万kWあり、合わせて170万kWに達する。
つまり自然エネルギーによる発電量だけで、厚真発電所の電力生産量の2倍の規模に達する。
主要電源
      日刊「赤旗」より
これにプラスして火発がある。発電能力は以下の通り。
奈井江(石炭 最大35万KW)、知内(重油 最大70万KW)、伊達(重油 最大70万KW)。これは過旗報道によるもので、他については申し訳ないが調べていない。砂川が突如稼働したり、苫小牧が音無しのままだったりと分からないことも多い。
しかしかなりのものになると思う。したがって、いったん全面的な「負荷遮断」を行った上で逐次範囲を区切った再稼働を図るなら、数時間のうちに全面再開することは可能なはずだ。
世耕弘成経産相が大見得を切ったのもそういう計算を元にしていたのだろうと思う。それが当てが外れたのには何かウラがあるはずだ、と私は睨んでいる。


泊原発が危機一髪
6日午前3時25分 第1回目の全電源喪失。これにより冷却用プールの燃料棒を冷やせなくなった。非常用ディーゼル発電機6台を使って冷却は維持された。

いったん外部電源が確保されるが、ふたたび喪失。その後外部電源の喪失状態が続く。

午後1時 喪失から約9時間半後、外部電源が復活。水力発電所の電気を優先的に送り電源を確保したとされる。


ここで原発に関する説明

もし泊が稼働していたらどうなっただろうか、それは原発大好き人間が言うように「救い主」になっただろうか。いえいえそうではありません。
火力発電所が停止することで電力の需給バランスが崩れると、泊原発から発電された電力は「出口」を失う。普通の火発ならここでブレーキが掛かって緊急停止する。
しかし原発は止まらない。
原子炉内にはやがて蒸気がたまってくる。それを排出し、制御棒を注入して核反応を抑え、炉内を冷やすため冷却水を注入する。
これらの操作にはすべて外部電源が必要だ。(すみません、引用先忘れました)
震源地から100キロ、震度はわずか2であり、地震による直接的影響はない。停電による二次被害、すなわち人災である。危険なのは地盤ではなく、北電という会社の経営基盤、安全基盤、技術基盤の脆弱性なのだ。
原発派(大方、北電社内からだろう)のページにこんな記載があった。
泊原発1~3号機は運転を停止しており、原子炉内に核燃料は入っていない。非常用発電機は最低でも7日間稼働を続けることが可能だ。
原子炉に入っていないけれど冷却槽内には入っている。冷却槽がどこにあるかぐらい誰でも知っている。いまだにこんなダマシをしているんだ。我々はポストフクシマ世代なんだよ。



6日早朝 官邸で地震災害についての関係閣僚会議

朝8時 世耕経産相、「北海道電力に数時間での停電復旧を指示」と報道。結局約束は実現せず。

60万キロワットを送ることが可能な本州からの支援ケーブル、系統電源の喪失により自動停止していることが判明。系統電源とは送電のために必要な電源で、北電から供給されなければならない。

6日午後12時 北電が記者会見。水力発電を動かし、火発を順次稼働させると発表。厚真発電所の修復に一週間を要するため、この間道民に節電を要請する。

午後4時 砂川発電所を動かし始め、全体の11%への供給を回復。

6日午後4時 北電の真弓明彦社長が会見。「すべての電源が停止してしまうのは極めてレアなケースだと思う」と述べ、失笑をかう。また緊急停電対応については「あまりに強い揺れで急激な供給力の喪失があったため、間に合わなかった」と説明したそうだ。
17分あれば、揺れが収まってからトイレまで行って便座を上げてスボンを下げてパンツを下げて便座にまたがる暇はあるだろう。「間に合わなかった」という表現が遅刻した学生の言い訳みたいで、思わず苦笑してしまう。

道民の一人として、このときのムカつくような怒りを共有している。夕方くらいまでには直ると思ってたから「おいおい、大丈夫かよ」という感じだ。しかもこいつらまったく「済まない」などとは思っていない、「すみませんが節電に協力してください」という“すみません”しか言ってない。
「きわめてレアなケース」ではなく「あってはならないケース」なのだ。百歩譲って「きわめてレアなケース」だったとしても、それはこちらの言うセリフで、北電側には「きわめてレアなケース」が何故起きてしまったのかを説明する義務があるはずだ。なぜならそれは「レアなミス」なのであり、あなたが起こしたミスだからだ。
医者はミスを犯したときの対応について、40年も前からそのように教育されている。
暗闇の狸小路
     暗闇を迎えた狸小路 スマートホンが道を照らす
7日 原発再稼働派の池田信夫、「大停電の再発を防ぐには、泊原発の再稼動が不可欠だ」と主張。ホリエモンこと堀江貴文も「これはひどい。泊原発再稼働させんと」とツィッター。電源喪失の情報は東京では伏せられていたのだろうか。

8日 北海道電力の真弓明彦社長が記者会見。供給電力は350万キロワットまで回復したがピークに比べ1割不足しており、計画停電を検討していると発表。

11日 厚真発電所の点検結果と復旧の見通しを公表。1号機はボイラー管2本の破損、2号機はボイラー管11本が損傷。タービンから出火した4号機は冷却後に点検予定。

12日夜 経産省、北海道停電について「速やかに検証に着手したい」と改めて表明。経済産業省の認可団体「電力広域的運営推進機関」などから停電前後のデータ提出を受けるとする。

14日 北海道電力の真弓明彦社長が「謝罪」会見。ブラックアウトまでの経緯については「検証中」とする。経産省の出方を見ながら小出しに「謝罪」をしているが、本気度ゼロ。

15日 発電機が耐震基準上、最低の震度5相当だったことが判明。東日本大震災後、社内で耐震基準の見直しを議論し、「変更は不要」との結論をだしたという。

19日 苫東厚真火力発電所の1号機(35万キロワット)が復旧。地震前のピーク需要を上回る供給力を確保する。

19日 「電力広域的運営推進機関」が有識者らによる第三者委員会を設置。