これで一段落ということになるのだろう。シシが新大統領に当選した。
いままでは書きにくいから書かなかったが、一応の総括の時期に入ったようだ。
選挙については3つほど特徴を上げることができる。
1.投票そのものは、ほぼ平穏に行われたこと。市民はこれ以上の混乱を望んでいないことの現れだろう。左派も自覚的に非暴力を貫いた。
2.しかし投票率は50%に満たなかった。シシと軍部への不満と警戒は深部に渦巻いていることを示す。
3.左派の対立候補は惨敗した。これは主として左派系の人々が投票という行動よりも棄権(平和的ボイコット)という形で意思表示したことを示す。

それで、2011年1月以来の流れのなかで現在の状況を見てみると、
1.決して振り出しに戻ったわけではない。ムバラク体制が否定され、イスラム原理主義も拒否された。その上での新体制だということは見て置かなければならない。
2.新体制がムバラクなきムバラク体制だとは言い切れない。もともとサダト・ムバラク体制はナセリスト政権の変質・堕落したものだった。軍にはナセルの伝統が生きている可能性がある。(左派の対立候補も元はナセリスト左派であった。もっともナセルも革新的・進歩的ではあったが、決して民主的ではなかった)
3.軍は無傷で残ったが、タハリール広場を埋めた青年の運動も(無傷ではないが)しっかりと残っている。そして「アラブの春」を是と捉えるコンセンサスは厳存している。

などをしっかり踏まえる必要がある。
そのうえで、いくつかの残された問題をあげておく。

1.民主的選挙で選んだ大統領を短期間のうちに非民主的手段で打倒したというスティグマ。
2.原理派の政治活動に対する徹底的弾圧という、それ自体が非民主性をはらんだ政治姿勢。(シナイ半島のアルカイダ系ゲリラへの対応をふくめ)
3.ムバラクの新自由主義的改革路線を継承するのか、それと対決するのか。

以上、本日の赤旗での鈴木恵美さん(早大イスラム研)のインタビューを読んでの感想である。