赤旗経済面トップに、「米中貿易摩擦」と題する2日連続の囲み記事が掲載された。
語り手は宮崎礼二さん、聞き手は杉本記者である。
とりあえずお手軽に知識を吸収する目的で着手する。
1回目の見出しは「技術覇権争いが激化」というもので、経済摩擦の原因が技術開発と知財権にあることを示唆している。

貿易摩擦の事実経過
最初にこれまでの事実経過が提示されている。
今回の貿易摩擦激化は、トランプ政権が中国製品に追加関税を課したことに起因する。
追加関税の主たる理由は知財権侵害である。貿易収支の不均衡は表向きの理由にはなっていない。
これまで第1、第2弾が発動され、今週中に第3弾が発動される予定だ。関税額は第1、第2がそれぞれ500億ドルであったのに対し、今回は一気に2,000億ドルまでかさ上げされた。

報復競争の行方
中国は報復関税で反応しており、今回も報復するものとみられる。
しかし中国の対米輸出額は対米輸入額を大きく上回っているので、報復合戦は分がない。先に弾切れになる。
今回、中国は米国の2000億ドル追加関税に対し、600億ドルの報復措置しか取れない。
こうやって米国は、関税では対抗できないところに中国を追い込もうとしている。

いかが本文となる。全体として4つのQ&Aから構成されている。こちらで通し番号をつけておく。

1.トランプ政権の狙い…中間選挙対策
トランプ政権の狙いは2つある。一つは中間選挙対策である。もう一つは中国の先端技術の押さえ込みである。ここでは中間選挙対策に話を絞る。
トランプのもっとも期待する支持基盤はラストベルト(錆びた地帯)やアパラチア地方の工業地帯である。ここでは企業が消滅し工場が海外移転している。そのために労働者は没落し貧困にあえいでいる。
トランプは地域に苦境をもたらせたのが対米黒字国だとし、これらを非難することで支持を集めてきた。大統領選挙のときはメキシコが標的だったが、今回は中国が標的となった。

2.中国をやっつけても他の国に移転するだけ
中国が得意な輸出産業は、低賃金を武器とする労働集約型の分野である。追加関税の品目も服飾品や家具などの消費財に集中している。この分野の生産を、対中関税で米国に移すというのは非現実的な考えである。
現実にはすでにこの分野の生産拠点は中国を離れつつある。アパレル産業などでは中国からその他のアジア諸国への移転の動きが進んでいる。例えばカンボジアやバングラデシュは中国よりはるかに低賃金である。
中国をやっつけるトランプのやり方は、この流れを加速するだけである。それは決して米国に生産ももたらさないし、雇用ももたらさないだろう。

3.パリ協定から離脱する時代錯誤
トランプ政権は温室効果ガスの削減に反対しパリ協定から離脱した。アパラチア地方の人々は大喜びしているという。石炭火力発電が復活すれば、石炭を産出するアパラチアが潤うだろうと期待するからだ。
しかし石炭火発は本当に復活するだろうか。産業界はLNGから石炭に再シフトするだろうか。多分そのようなことは起きないだろう。そこには原発と同じように、環境問題だけではなく、経済合理性というもう一つの深刻な問題が横たわっているからだ。

4.中国の先端技術の押さえ込み
ここまではわかりやすい。しかしもう一つの狙いの方はちょっとややこしい。
杉本記者が宮崎さんに提起した質問は、「米中の技術覇権争いが浮上している」という、じゃっかん前のめりの判断が前提となっているが、はたしてそこまで事態は進行しているのだろうか。
そこまで言ってしまうのは米国側の「中国脅威論」宣伝に乗せられ過ぎではないか。
私には、まずはもう少し冷静な事実認識が必要である。

そのために、記事の追いかけを少し外れて、論点を整理しておこうと思う。(以下次項)