この夏、北海道はずっと雨ばかりで、たまに晴れるとドライブしたくなる。この間は層雲峡まで行ってきた。お金さえ気にしなければ、今は上川町まで高速で行ける。計時はしなかったが3時間足らずでつくと思う。
上川から一般国道に降りてしばらく走るともう層雲峡だ。下の地図で見て、山に登っていくケーブルカーが見える。その出発点が層雲峡温泉だ。
そこからなんとやらの滝とやらを右手に見ながら進む。滝上の山にはまだ残雪がある。少しづつきつくなる上り勾配に差し掛かってしばらく走った頃、道は二股に分かれる。
両方とも国道で、まっすぐ東に行くと天北峠を越えて北見につながる。右に曲がるとダムの堰堤の上を通って湖沿いに三国峠に伸びていく。三国峠の向こうは十勝平原だ。まぁ北海道の中心と見てよいだろう。
大雪山
ここを三国峠の方向に曲がり、ダムの堰堤を越えトンネルを潜ると、右に登山道が見えてくる。最初の100メートルほどを行くと舗装は切れる。車がすれ違うのも危険を感じる悪路を延々と登っていくと、山の中腹で道そのものが切れる。これが銀泉台である。
なんでこんな半端な道があるかと言うと、登山者のためのアクセスなのである。車は通れないが道は山頂に向かって続いている。多分銀泉なのだろう、蛇口があって、トイレがあって、無人の事務所が置かれている。
私は登山などという無駄な遊びは好きでない、景色だけならテレビ見ていればたくさんだ。ということで早々に退散したのだ。
すみません。ネットしたところ、行き方&現地レポートという詳しいページがあって、動画まで掲載してくれています。
もみじの名所でシーズンには山麓からシャトルバスが運行するそうです。
朝6:00から昼過ぎまで30~45分間隔で運行。運賃は銀泉台まで片道500円。細くて未舗装部分が多い道を、ガタガタ走ること約35分。ようやく銀泉台へ到着します。
復路の最終は16:30です。
その帰りの途中、もう麓に近いあたりで道を歩いている青年を見つけたのだ。およそ登山者には見えない出で立ちで、まちなかを歩くふうに悠々と歩いている。しかも何故か下っている。
流石に気になる。止まって話を聞いた。見た目は日本人風だ。しかし言葉は片言だ。
「いったいどうしたの。みちにまよったの?」
「国道に出ようと思っています」
「国道に出るってゆったって、ずいぶんあるよ」
「大丈夫だと思います」
「第一危険だ。この辺は人はいないがクマが出る。私なら絶対歩かない」
「…」
ということで、とりあえず後部座席に収容する。
車の中で聞いたところ、この青年はマレーシア人。層雲峡温泉のホテルに「研修」に来ているそうだ。今日は非番で、朝の10時過ぎにふらりと宿舎を出て、散歩の延長でここまで歩いてきたらしい。私と同じ道をたどって、途中まで登ったが先が見えないので歩いて戻る途中だったという。
距離測ってないが、ある自転車乗りのブログで、温泉から二股まで11キロと書いてある。
無謀なことをするものだ。熊に襲われなくても大雪の山は夜はしっかり冷える。どうせ携帯など持っていないだろうし、持っていても圏外だ。
「メクラ蛇に怖じず」とはこういうことを言うのだろう。
ともかく層雲峡温泉までは車で送ってやった。さほどありがたい様子は見せなかったが、仕方がない。


それで、すっかり忘れていたのだが、この間の山口県大島の子供の行方不明事件のテレビを見ていてふと思い出した。人間というのは見知らぬところで迷子になると、似たような行動をとるものだなと思った。マレーシアの青年の場合、さすがに「これは戻るべきだ」と判断したのだが、それまでずいぶんと突き進んでいる。
そこには「進む勇気」も「退く勇気」も関係ない。前頭前野が止まるのだ。そして前頭前野が止まったとき、人間というのは無意識下に歩みを続けるものなのだ。なぜなら、前頭前野は「止まれ」という司令も出せなくなるからだ。そして無意識下であっても下位中枢がしっかりと歩行行動を支えるのだ。