札幌という街は、民間の優しさは人後に落ちるものではないが、公の優しさにはかなり欠けているのではないかと思う。
20年以上前の母親餓死事件、6年前の姉妹の孤立死に続く第3弾である。
深刻なのは、餓死事件の教訓として、「どんなことがあっても電気と水道だけは止めない」ということが確認されたはずなのに、それがまったく継承されていないことである。
以下赤旗報道を紹介する。
見出しは三本。大きい順に並べる。
電気止められ 熱中症で死亡
札幌市 生活保護利用の60代女性
国の「通知」生かされず

次がリード
札幌市西区の5階建てマンションで、生活保護を受給していた60代の女性が死亡した。
激しい脱水症状が確認され、熱中症と判断された。
部屋にはクーラーや扇風機があったが、使用されていなかった。料金を滞納し、電気を止められていた。(マルクスの「ナイフやフォークを持っての餓死なら許される」という一節が思い出される)

本文は小見出し付きの2つの段落からなる。小見出しは内容と照応していないので、こちらでつけさせてもらう

1.今度の事件をどう捉えるか
共産党はこの事件を“ライフラインが断ち切られて命を落とす事態”として重視した。
2012年に白石区で40代の姉妹が孤立死した。その後も埼玉と大阪で孤立死・孤独死が発生、これらを行政の対応不備がもたらした悲劇と捉える。
2.過去の事件にどう向き合ってきたか
これらの事件に対応して、学者・研究者などが全国調査団を結成。孤立死事件を現地調査した。
調査団は結果を踏まえて事件根絶に向けた提言を発表した。
3.厚生省の対応
提言は世論と運動を巻き起こした。厚生省も重い腰を上げた。
2012年5月、厚生省が通知を発した。「関係部局・機関との連絡・連携を強化し、徹底を図るよう」もとめたものであった。
それは具体的には「行政がライフライン事業者と連携して対応する」ことをもとめたものであった。
畠山前議員はこの「通知」との関係で札幌市の対応がどうだったのか、をただそうとしている。
4.畠山前議員と市担当者とのやりとり
やり取りの中で明らかになったのは、この厚生省通知が事実上無視されていることであった。
記事をそのまま引用する。
市担当者は、個人情報保護を理由に事業者からは情報を得られていない。市として事業者に協力を願うしかないと答えました。
5.畠山前議員の見解
昔なら「ドン」と机の一つも叩こうというところだが、さすがは畠山さん、諭すように自説を述べる。ただし相当端折った記事のようで、つじつまの合わないところもあるので、補いながら紹介する。
① 今回の事件はかけがえのない人命が奪われる重大問題だ。しかも自然災害ではなく、「人災」の可能性も疑われる。真剣な検討が必要だ。
② 熱中症という形の孤立死は初めての経験だ。したがって状況を精査し、よく教訓化しなければならない。
③ 言えることは困窮世帯でライフラインが止まるということが、さまざまな形を取りつつも、命に関わるということだ。
最後に、畠山さんは「こうした事件を二度と起こしてはならない。電力・ガス・水道などの会社・機関と早急に協議してほしい」と求めた。


この記事では直接言及していないのだが、究極の問題が「個人情報保護法」なのだろうと思う。
あえてジャーナリスティックな言い方をすれば「人権か、人命か」という選択である。
ユニバーサルな課題なだけに、あまり制限条項とか例外条項で逃げてほしくない問題で、コンセンサス方式での合意形成が必要になるだろう。
誰かが音頭取りをして、海外の動向も見ながら、非政府系の機関でのイニシアチブがもとめられる。