リーマン・ショック後の動き 金融政策を中心に
9.19 増補しました。ネタは主として「世界的金融危機の構図」(井村喜代子)です。2009年6月までの事項しかないので、さほど内容的には増補になっていません。

2008年

08年9月
9月07日 米政府、政府系金融機関の連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)を政府の管理下に。
9.15 米投資銀行リーマン・ブラザーズが倒産。米国史上最大の倒産となる。
9.15 米投資銀行メリルリンチをバンク・オブ・アメリカが買収。
9.16 世界最大の米保険会社AIGが経営破綻、政府が管理下に。AIGは大量のCDS(倒産保険)を扱っており、破綻すればリーマンとは比べものにならない位の大混乱が起きるところだった。
9.16 FRB. ECB、BoEが緊急資金供給。
9.18 米欧日6中央銀行が史上初「ドル供給制度」で緊急ドル供給。
9.20 米政府7000億ドルの「緊急経済安定化法案」提案。
9.21 FRBが投資銀行ゴーノレドマン・サックス、モルガン・スタンレーの銀行持株会社への移行承認。米投資銀行が消滅。
9.25 S&L最大手ワシントン・ミューチュアルが破綻。
9月29日 米下院、共和党の反対で金融安定化法案を否決。予想外の結果に反応して株式市場が大暴落。世界同時株安始まる。
9.30 米欧日10中央銀行が「ドル供給制度」枠を倍増。FRBとのスワップ協定によりドル資金を供給。

08年10月
10月03日 米議会、共和党の賛成を得て「金融安定化法」を修正可決。不良債権買取のため最大7000億ドルの公的資金を投入することが決まる。
10.03 米ウェルズ・ファーゴ銀行がワコビア銀行を買収。
10.06 世界的株暴落の再開 ダウは1万ドル割れ。為替ではドル売りで円が5円高騰。
10.07 FRBがコマーシャルペーパーの買取開始。
10.08 欧米主要6カ国中銀が初の協調利下げを実施する。金利2→1.5‰に低下。
10.10 G7が金融危機対策「行動計画」発表。米欧が協調して公的資金を供給。
10.14 米、安定化法に基づく不良資産救済プログラム(TARP)を発動。大手9銀行への公的資金供給を発表(不良債権買取り用から転用)
10.24 景気悪化懸念で株の世界同時下落の再燃。ダウ8175ドル。日経平均は8000円割れ。
10.29 FRB、FF金利を1.0%に。
10.31 日銀公定歩合0.3%に。
10.31 ニューヨーク株史上最大下げ幅。
10月  欧米当局が金融機関への資本注入,銀行間取引の保証,預金保護の拡大等を実施。

08年11月
11.05 IMFが対ウクライナ融資を承認。その後、対ハンガリー融資等の承認が続く。
11月07日 米大統領選でバラク・オバマ勝利
11.14 G20による「金融市場および世界経済に関する緊急首脳会議」を開催。「金融サミット」と呼ばれる。
11.23 シテイ・グループが経営危機を迎える。政府が資本注入、保有資産への政府保証など支援策を発表。
11.25 FRBが8000億ドルの追加金融対策を発表。CPと資産担保CPの直接買取り、資産担保証券(ABS)支援、政府系住宅金融機関(GSE) 2社発行の住宅ローン担保証券および債券買取りなどをふくむ大規模なもの。
11.26 EUは、2000億ユーロの経済対策を発表。各国の財政赤字による財政出動を容認する。

08年12月
12.04 米欧日諸国、金融危機と実体経済悪化が深刻化。EU諸国、10月に続き再度、大幅な金利引下げを実施する。
12.16 FRB、FF金利を0.00~0.25%まで切り下げ。事実上のゼロ金利に移行。


12.19 日銀も公定歩合を0.1%に引き下げる。
12.19 米政府、GMとクライスラーへの支援策を発表。
12月 FRB、量的緩和第1弾(QE1)の導入を決定。実施は09年3月より。

2009年
1月 米国オバマ新政権発足。
1月 ビットコインを使った世界発の商取引。
2.10 米財務省が「金融安定化策」発表。
2.17 米議会で「米国再生・再投資法」(ARRA)が成立する。支援総額は過去最大の7870億ドルに達する。
2.18 米政府、住宅保有者に対する支援などを柱とする住宅対策を発表。
3月10日、日経平均がバブル後最安値を更新(7054円)
3.18 FRB、長期国債3000億ドルの「買い切り」を発表。さらにGSE 2社が発行する住宅ローン担保証券および債券の買取り枠を拡大するなどの対策を発表。
3.20 米財政赤字は09年会計年度で過去最大の1兆8000億ドルに達する。
3.23 米政府、不良資産買取りのための官民投資プログラムを発表。
4.30 クライスラー、GMが破たん。クライスラーが破産法第11条に基づく破産申請をおこなう。
5月 米国で、銀行のストレステスト(健全性審査)の結果が発表される。
6.01 GMも破産法の適用申請。米政府が国有化措置に踏み切る。
6月 FRB、バランスシート上の総資産が約2兆1000億ドルに達する。これは07年7月の2.3倍に相当する。
6月 BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)が初の首脳会議を開催。
8.12 FRB、長期国債の買い切り期間を1ヵ月延長。
8月 衆院選で民主党圧勝。鳩山内閣が発足。
12月 ギリシャで政権交代に伴い、前政権が隠蔽していた過剰債務と財政悪化が判明。ギリシャ国債が格下げ。

2010年
3月 欧州債務危機(ソブリン危機)が勃発。EUとIMFがギリシャに金融支援。
5月 ギリシャの債務危機が南欧諸国に拡大。ユーロの為替レートが暴落する(ユーロ危機)。欧州中銀はユーロ圏諸国の国債買入れに回る。
7月 「金融規制改革法」(ドッド・フランク法)が成立。商業銀行の業務内容を制限する条項(ボルカー・ルール)を盛り込む。
9月 バーゼル銀行監督委員会が「バーゼル3」を公表。主要国の金融監督当局が金融規制の強化で合意。
11月 FRB,量的緩和第2弾(QE2)を導入。
11月 EUとIMF、アイルランドに金融支援を開始。

2011年
2月 中国のGDPが日本を上回って世界第2位となる。
3月 東日本大震災が発生。福島原発事故。
3月 G7が円高阻止で協調介入を実施
4月 欧州中銀,2回にわたり金利引き上げ。1→1.5%に
5月 ギリシャ、アイルランドに続きポルトガルへの金融支援を開始。
9月 「ウォール街を占拠せよ」運動が発生。格差問題に焦点が当てられる。トマ・ピケティの著書『21世紀の資本』がビッグヒット。
10月 円相場,対ドルで史上最高値(75円32銭)
12月 欧州中銀が利下げし年初の1%に戻す。域内の民間銀行に長期流動性供給オペ(LTRO)を実施。

2012年
1月 FRB、年2%のインフレ目標を導入
3月 ギリシャ、事実上の債務不履行
6月 スペインが金融支援を申請。EUとの間で銀行部門に限定して合意。
6月 LIBORの不正操作問題が発覚。
7月 ドラギECB総裁、「ユーロ防衛のためなら何でもやる」と発言。
8月  3党合意に基づく「消費税増税法」が成立。
9月 ECBが域内重債務国に対し、短期国債の「無制限買い入れプログラム」(OMT)を発表。
9月 FRB、量的緩和第3弾(QE3)を導入する。
12月 総選挙で民主党が惨敗。安倍内閣が成立。アベノミクスが開始される。

2013年
1月 政府・日銀の共同声明。前年比2%のインフレ目標を設定。
3月 キプロスで預金封鎖が勃発。EUとIMFは預金者に損失負担を強いる異例の措置。
3月 黒田日銀総裁が就任。インフレ率2%を目標とし、大規模な金融緩和策を発表。
4月 異次元緩和(量的・質的金融緩和)スタート。長期国債の大量購入に動く。
5月 円が4年ぶりに100円を割り込む。
6月 ユーロ圏、大量資本注入で合意。欧州中銀は0.25%まで利下げ。
8月 財務省、国の借金か1000兆円を超えたと発表し、消費税の早期実施を促す。
12月 円安を引き金に、訪日外国人が年間1000万人を突破。インバウンドに注目が集まる。
2013年 サマーズ元米国財務長官、「長期停滞論」を提唱。世界的な需要不足と貯蓄余剰によって、潜在成長率が低下したと説明。

2014年
1月 新興国で通貨危機が表面化
シャドーバンキングの破綻懸念が高まった中国や、政権崩壊のタイ、経済不安のアルゼンチンやトルコなど、新興国の通貨が暴落。
2月 米FRB議長が交代(バーナンキからイエレンへ)。景気回復に伴い、量的緩和を縮小の方向へ
4月 日本で消費税を増税(5%から8%へ)
6月 欧州中銀、預金ファシリティ金利を△0.1%へ切り下げ。主要国では初のマイナス金利となる。
10月 FRBが量的緩和政策を終了しテーパリングへ移行。リーマンショック以降続いた金融緩和が終わる
10月 日銀、追加金融緩和を実施。国債購入を30兆円増加。
11月 ロシアルーブルが変動相場制へ移行。経済の低迷でルーブルを支えきれなくなり、通貨バスケット制を放棄。

2015年
1月 ECBが量的緩和政策を開始。月額600億ユーロ相当の国債の買い入れを行っていくと宣言。
1月 ギリシャ総選挙。緊縮財政に反対する急進左派連合(SYRIZA)が勝利する。
7月 ギリシャで緊縮財政の受け入れの是非を問う国民投票。反対派の勝利でEU離脱懸念が高まる
7月 東芝の不適切決算処理が発覚。経営危機が表面化する。
8月 中国ショック。当局は景気低迷や上海株式市場の暴落を受けて元安誘導へ転換。
12月 FRB、ゼロ金利政策を解除し短期金利を利上げ。リーマンショック以降、初めての利上げ。
12月 中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)が設立される。

2016年

1月 日銀、量的・質的金融緩和を継続。インフレ目標の達成を目指しマイナス金利を導入。
2月 原油安,中国のバブル崩壊,米国の景気減速懸念などから世界同時株安。
3月 中国と欧州中銀が追加緩和。
6月 消費税の10%への引上げを再延期
7月 英国でEU離脱(ブレグジット)の国民投票が可決。英ポンドは大暴落。
7月 日銀が「総括的検証」を行う。
11月 米大統領選でドナルド・トランプが勝利。
12月 FRBが第1回目の利上げ。その後3回にわたり小幅引き上げ。

2017年 米国の成長率は名目で4.1%に回復。
10月 FRBが資産圧縮を開始。
11月 トランプがアメリカ大統領に当選。「アメリカ・ファースト」を掲げる。
12月 ビットコイン、1BTC=約2万ドルとなる。

2018年 
1月 EUが「第2次金融商品市場指令」(MiFID2)を導入。市場の透明性向上を目指し金融・資本市場に規制。
4月 日銀、目標に2%物価目標の達成時期を記載せず。
7月 日銀「強力な金融緩和継続のための枠組み」を導入。
7月 トランプ政府、中国からの鉄鋼やアルミニウムへの関税を強化。
12月 欧州中央銀行、量的緩和政策の終了

2019年 
3月 みずほFG、6800億円の当期損失を計上。