AALA国際部の新藤さんから下記のニュースが送られてきました(6月23日)。
要旨を紹介します。
なお先般、札幌にお越しいただいたアラーナ大使は、日本での勤務を終えられ、現在はチリのサンチャゴでご勤務と伺っております。

はじめに
ニカラグアでは大きな緊張状態が起きています。4月19日にニカラグア政府の年金改革を巡って広範な市民の抗議が生じました。
その後、過激な反政府行動が展開されました。報道では、警官8名を含め173名が死亡し、2,100名(うち警官200名)が負傷しているとされます。
人口630万人、GDP138億ドルのこの小国で何が起きているのでしょうか。

Ⅰ ニカラグア 社会の状況
最近のニカラグアは経済成長が著しく、失業率や貧困者も減少し、貧富の格差も改善しています。
病院・学校・電気・水道・通信などの社会・インフラ投資も順調で、殺人事故は中米中最低となっています。
国内政治では、労働者・資本家政府の協調姿勢が貫かれています。
これはサンディニスタ政府が内戦による損害を取り戻すために、社会の安定を最重視したためだといいます。
このやり方は IMF・世界銀行・米州開発銀行からも高く評価されていました。
外国投資も順調に増大し、ムーディズの格付けでもB2で「ポジティブ」 と評価されています。
オルテガ大統領の率いるサンディニスタ政府は、2006年以来3度の総選挙を勝ち抜いて政権を維持しています。
国際貿易収支は7億ドルの赤字ですが、海外からの家族送金が14 億ドルあります。
財政も比較的健全で、財政赤字は歳入の7%程度です。
要するに経済・社会のマクロ指標はバッチリです。

Ⅱ 何が起きたのか
今年4月、年金財政赤字の改善のため保険料引上げや年金支給額の減額を打ち出しました。
これは各団体との協議を経て提案されたものでしたが、企業団体と労働団体が強硬な反対に回りました。
抗議運動が各地に広がり、一部では暴力的な行動を伴いました。
contra
      グラネード・ランチャーを標準装備した暴力分子
政府は年金改革の撤回を打ち出し、対話をもとめ、司教会議に仲裁を要請しました。
しかし抗議は続けられエスカレートしていきました。火炎瓶、ロケット砲などが用いられ、公的施設、政府派人物の民家の焼き討ち、略奪、人への攻撃、道路封鎖が展開されました。
取締り警官隊への攻撃と挑発が繰り返され、火炎瓶、ロケット砲などが用いられるようになりました。
闘争目標も大統領の辞任、選挙法の改正、前倒し選挙の実施へと移っていきました。
5月に入ると抗議行動は一層エスカレートし、全国14の県で道路封鎖が実行されました。都市では商店の焼き討ち、公共バスの破壊、サンディニスタ事務所の放火などが繰り返された。
FSLN事務所の焼き討ち
            FSLN事務所の焼き討ち
Ⅲ アメリカの干渉
アメリカ政府は反政府勢力を支持して内政に干渉しています。キューバ、ベネズエラにくわえ、ニカラグアも「専制政治」の一員に加えられました。
ペンス副大統領は、「母の日の平和なデモに攻撃が加えられ、恐るべき暴力により数十名が殺され、数百名が負傷した」と非難しています。
今回のニカラグアの問題は、米国の意向が反映されたものであり、トランプ大統領、ペンス副大統領の言動が、大きな影響を及ぼしています。
新藤さんの本文はこの記事の数倍あり、最近の動きまで丹念にフォローされている。ぜひご一読を願いたい。


反政府派の暴力的妄動は、ベネズエラで見られた光景とまったく同じです。
違うのは、ベネズエラではそれが政権による弾圧として描かれ、民衆がそれに対して民主主義をもとめて戦っているように描かれ、アメリカが民主主義を支えるために支援を行っているように描かれていることです。
拉致者を焼殺
            FSLN支持者が焼き殺される
現在のところ、ニカラグアのような小国のケースは見過ごされているようですが、いずれサンディニスタも民主主義の敵として描かれるようになるのでしょうか。(すでにその兆候は現れています)