「空飛ぶタイヤ」が映画化され、話題になっているようだ。
三菱の事故隠しはまことに呆れたものであるが、最近この事故を技術的に克服するものとして幅広タイヤが開発されているようだ。
名称は会社ごとにいろいろあるようだが、先発メーカーであるミシェランの方ではワイドシングル(X Oneと呼んでいるらしい。後発のブリジストンはスーパーシングルタイヤと名付けたが、完全に腰が引けている。

大型トラックの後輪はダブルタイヤになっている。したがって一軸に4つの車輪がついている。
これを1輪づつ2輪にしてしまおうというのが発想だ。
元々はヨーロッパのトレーラー用タイヤとして採用されてきました。
日本ではここ数年採用するシャーシメーカーが増えてきます。(ワイドシングルタイヤより)
タイヤが減るとその分軽くなり、抵抗が減るから燃費も向上…といいことづくめのようだが、やはりパンク時のリスクが気になるということで普及が進まないという解説になっている。

私には、日本のトラック業界の意気地のなさの表れのように思える。
30年前だったら、こちらがいいとなったら業界全体が雪崩れを打ったものだ。
引っ張った感じは11Rを12本の今までのシャーシより動き出しが軽いです。…タイヤの持ちはかなりいいです。
自分が経営者ならトレーラーのタイヤは全部ワイドシングルにします。ワイドシングルタイヤより)
初期投資は多少かかるにしても、ランで取り返せる。技術革新が進めばコストは急速に下がるだろう。「地球にやさしい」という謳い文句は、クライアントにも宣伝効果を生む。
バーストの際のフェイルセーフが心配だというが、今どき後輪一軸の大型トラックなどないのだから、これは理由にならない。「空飛ぶタイヤ」のリスクはむしろ減少するはずだ。
昔からトレーラーは適当なタイヤで良い。という風潮があります。
トレーラーの方はトレーラーヘッドから外した中古タイヤという事が多いのです。
そういう考えの社長さんは割高なワイドシングルタイヤを履かせるのがもったいないと思うようです。ワイドシングルタイヤより)
何よりもタイヤの安全度を上げてパンクのリスクを減らせばいい。トータルコストはホイールのコストも考えれば原理的には抑えられるはずだ。その分仕業点検を厳しくすればよい。
1輪パンクしても良いからと、古いタイヤで済ますなど、そもそもが以ての外だ。

こういう「改善」は日本人の最も得意なところだ。世界のタイア生産シェアーをさらに増やすことになるだろう。それが未だにミシェランの後塵を拝しているとはまったくもって情けない。

どうして利潤第一主義になって、シェアーを争おうとしないのか、どうして新規投資でなく内部留保と自社株買いにばかり走るのか。どうしてそんな総務畑出資者ばかりを幹部に据えるのか。

どうして経産省は見て見ぬふりを続けているのか。もっとリスクテイクしろよ。