熱の原因が赤外線(熱線)にあり、それは量子として定式化されるということで一件落着となった。
しかしそれ以前は「熱素」の存在は常識であったようだ。

ウィキで調べてみた。

カロリック説(caloric theory)

物体の温度変化をカロリック(熱素)という物質の移動により説明する学説。

物体の温度が変わるのは熱の出入りによるのであろうとする考えは古くからあった。

古代において、熱は光や火と同一視されていた。火は4大元素の一つであり、物質であると捉えられていた。

17世紀 熱の本質についての議論が盛んになる。大きく分けて、熱物質説と熱運動説に分けられる。

1620年 フランシス・ベーコンが最初に熱運動説を唱えた。同じ頃、ガリレオは「火の粒子」が運動することによって熱が発生すると考えた。同様にホイヘンスは「熱の粒子」の運動を仮定した。

1697年 シュタール、燃焼を燃素(フロギストン)という物質で説明する。燃焼の結果として熱も生じるため、熱物質説が拡散する。

18世紀初頭、カロリック(熱素)仮説が提示された。目に見えず重さのない熱の流体があり、これが流れ込んだ物体は温度が上がり、流れ出して減れば冷えるというものであった。

1760頃 スコットランドの化学者ブラックが、ワットの蒸気機関の発明を受けて、熱の概念を検討。

彼は熱の量(熱量)と熱の強さ(温度)との区別を明確にし、物質の持つ力学的属性(質量)のほかに、熱的属性としての熱容量(比熱)の概念を導入した。これらの考えは熱物質説を補強した。

1777年 ラヴォアジエの熱理論が発表される。フロギストン説を否定し酸素の中心的役割を主張。酸素の中に「火の物質」がふくまれているとされる。

1783年 ラヴォアジェとラプラス、熱量保存則を発見。熱力学第一法則の確立を導く。

1789年 ラヴォアジェ、「化学原論」を発刊。それまで同一視されてきた光、火、熱を分離し、光は光素、火は酸素、そして熱は熱素によるものだと捉えた。

ラヴォアジェによれば、熱素は質量を持たず、物質粒子と化学的に結びつくと知覚もされなくなる。熱が加わる(すなわち熱素が増える)と、その反発力により物体の斥力が増し、物体は液体さらに気体となる。

1800年 ハーシェル、太陽光をプリズムで分け、波長ごとの熱作用の力を調べる。

赤色の波長を越えたあたりに最大の熱量があることが明らかになる。これにより放射熱と光の類似性が確認される。

1824年 カルノーが『火の動力』を著す。

カルノーの定理: 熱の動力は、熱素が最終的に移行しあう二つの物体の温度だけで決まる。これは熱素説が否定された今も、そのまま有効である。

1824年 ヤング、ハーシェルの実験を光の波動説から説明。さらに熱放射の事実から熱素を否定し熱線の波動説を主張。

1843年 フォン・マイヤー、運動のエネルギーと熱とが、互換性を持つことを証明。熱力学第一法則(エネルギー保存の法則)が確立される。これにより熱素仮説は不要なものとなる。


というのが、ウィキの解説。
結局熱イコール放射熱となり、熱線イコール光線(赤外線)イコール波動ということで、シャンシャンとまとめられただけみたいな印象だ。
まず熱というのが熱エネルギーの移動過程の熱力学的表現だとすれば、なにも放射熱と伝導熱を一緒に考える必要はないと思う。
第二に熱放射を波動から説明するなら、光電効果が説明つかなくなる。そもそも熱の定義が相当苦し紛れのものだから、ほころびが出るのが当然のようにも思う。
第三に、この熱素というのは量子のことではないかと考えてしまう。しかしそれを考え抜くほどの素養がないから、悶々としている。