ひどい話で、キルヒホフの熱化学反応のはなしを理解するのに、結局反応熱の概念まで遡らなければならないことが分かった。いかに高校・大学と物理・化学を知らずに過ごしてきたかが分かる。

反応熱(heat of reaction)

反応熱とは化学反応に伴い、発生もしくは吸収される熱である。

物質は分子が化学結合することにより形成されている。
化学結合は固有のエネルギーを持っている。
そのエネルギーは分子から受け渡されたものである。

したがって、分子の結合が切断されれば結合エネルギーは消滅し、分子の内部エネルギーが増加することで蓄えられる。
ふたたび分子が結合すれば内部エネルギーは減少し、結合エネルギーとなる。

結合のために用いられる内部エネルギーが多いほど、結合は強固なものとなり安定する。

分子周囲空間の温度変化

分子周囲空間の温度は化学物質の化学反応によりどのように変化するか。(分子外の空間の温度とは、単位容積あたりの熱容量である)

化学結合の切断は内部エネルギーの蓄積をもたらし、内部へのエネルギーの流入は熱の流入をもたらす。それは分子外空間の温度低下(エンタルピーの低下)をもたらす。
逆に化学結合の形成は内部エネルギーの流出をもたらし、分子外の発熱・温度上昇をもたらす。

これを分子(内部)の側から見ると、切断→エネルギーの流入→吸熱反応となる。結合の場合は発熱反応をとる。

通常の化学反応系内では結合の切断と生成の両方が同時進行する。このため、吸熱・発熱は化学物質内の切断と生成の総計として観測される。

熱化学方程式

反応式と生成熱とを組み合わせた化学反応式を熱化学方程式と呼ぶ。

窒素と水素からアンモニアが生成される方程式、

N2 (g) + 3H2 (g) = 2NH3 (g) + 91.80 kJ

では、2分子のアンモニアが生成されるのに91.80 kJが追加されなければならないことを示す。

なおこれらの事実を示すのにエンタルピーの概念は必要ない。