多分、いつまでも続くわけはないし、病気が病気だから、終わればそれで終わりだと思うから、毎晩嫁さんと付き合ってビデオを見ている。
仕事はしない、活動もしない、頭は使わない、体も使わない、こんな生活は相当フラストが貯まるが、それに慣れてきた自分にもっとフラストがたまる。
難しいビデオはダメだから、テレビドラマのシリーズのビデオ化されたものを片っ端から見るということになる。
名前をあげようと思ったら殆ど憶えていないことに気がついた。そこでメモ代わりに見たものを書いておく。
まずは「結婚しない男」という連続ドラマだ。主演が阿部寛と夏川結衣の組み合わせのラブコメディだ。全15作くらいある。これが終わってから、嫁さんが阿部寛をリクエストするようになった。こんなの何処が良いのかと思うが、まぁ好き好きだから仕方ない。
落ちこぼれ高校生を東大に入学させる高校教師の連続ドラマというのを借りてきた。実にバカバカしくて見る気になれないが、嫁さんが見たがる以上付き合わざるを得ない。
次が阿部寛がCM作家をクビになって専業主婦をやるという設定のドラマ。いささか飽きた。
その次がヤクザが介護ヘルパーになるという荒唐無稽のドラマ。草彅たけしの主演で、ここにも夏川結衣が顔を出す。これも嫁さんが食いついて強引にご相伴させられた。
それが終わるのを待って、夏川結衣の「結婚前夜」というのを見た。これはNHKの5話完結のドラマで、マイフェアレディが下敷きになっている。脚本が素晴らしい。さすがNHKだ。
こういう映画は嫁さんと並んで見るのがいささかしんどい。お互いそこそこ心当たりはあるであろうから、横眼でちらっと見られる瞬間がけっこうズキッと来る。
夏川結衣という俳優は美人じゃない。少なくとも一目惚れするようなご面相ではないが、なにか変に魅力的だ。どちらかといえば嫌いではないが、人前で、とくに女性に「この女優さん良いね」というのが下心をさらけ出して言うようで、ひょっとはばかられてしまう女優だ。
「あら、こんな人がいいの?」と言われそうな感じ、「あれっ、俺の最初に付き合った彼女みたい」とふと過去を振り返ってしまいそうな感じ、とにかく何か気になってしまう女優さんである。
あと面白かったのが「ナニワ金融道」で、途中からはけっこうコメディーになってしまったが、1、2作目は相当迫力あった。コメディではあるが、いしだあゆみがゲストで出た番組はロードムービーの趣もあり、単作としても最高だった。
吉永小百合の「母と暮せば」は泣きの涙、嫁さんと代わる代わるにティッシュの箱に手を伸ばしていた。
私の母は4人兄弟。母以外はすべて男で、すべて医者になった。長兄が大学でセツルメントもどきにはまったらしい。当局に赤色分子として目をつけられたようだが、とにかく昭和5年ころに無事に医者になって、なった途端にコレラもどきで死んじまったようだ。
次兄は静岡で開業し金持ちになった、末弟は北大に行って学者になった。母はこの弟のようになってほしかったようだが、後年になってからは「長兄の血なんだね」と言って諦めた。父は「歯医者でも良いんじゃないの」と密かに思っていたが、そのような道は母の念頭にはなかった。