丹羽さんの文章はフィリピンからの生還者の証言をめぐり、にわかに厳しさを増す。
フィリピンでは全軍の8割が死没した。もし日本兵が山に逃げ込む前に降伏していれば、ここまで悲惨な目に遭う人は少なかっただろう。
それは戦陣訓のためだ。
戦陣訓は東条英機が士気高揚と軍記維持のために全陸軍に通達した訓諭にすぎない。東条が作って押し付けたものが彼らの精神に刻み込まれ、その行動を縛った。
大本営は現場を知らないままに、いかなる変更も許さなかった。現場を知ろうともしなかった指導部のために、それは悲惨なものとなった。
最後に丹羽さんはこう語りかける。
虜囚となっても生き抜き、今日の日本を築き上げた戦争証言者の人々に、私は敬意と賞賛をおぼえずにはいられない。
これはだいじなポイントで、私達はなくなった犠牲者だけに非戦を誓うのではなく、戦争を生き抜き、戦後70年を生き抜いてきた人々に対し、彼らが築き上げた平和を守り抜くと誓わなくてはならないのだろう。

それにしても、このところ保守リベラルの水脈が噴き上がっている感がある。誰か政治評論家でも哲学者でも、ジャーナリストでもいいから、これらの人たちを一括りにして、包括的な分析を行う必要があるのではないか。これはかなり急ぐ作業だ。なぜなら今後の政治の展開次第では野党共闘というだけでは間に合わなくなるかもしれないからだ。
さらにいうなら、反動右翼と闘うよりもはるかに砂漠の砂のようにアノミー化した青年層を覚醒させる作業が、絶望的に目前に積み上がっているからだ。